合格までの道のりを追う! 公務員内定者による座談会
平成26年10月、公務員試験を受けた学生から、合格の報告がキャリア支援課に届きました。
公務員は、安定した職業であることから、就職先の一つとして年々人気が高まっています。今回、狭き門を突破した先輩方に集まっていただき、公務員試験対策等の取り組みを振り返って、後輩の皆さんへ伝えたいことをお話ししてもらいました。
座談会参加者(4年次) ・佐藤 真也さん(経営専攻、岡山県立倉敷天城高校出身)内定先:岡山県警 ・下荒 瑛恒さん(スポーツ健康学科、鹿児島県立志布志高校出身)内定先:東京消防庁 ・鈴木 健太さん(スポーツ健康学科、大阪府立住吉高校出身)内定先:東京消防庁 コーディネーター ・宮平 栄治先生(国際学群 経営情報教育研究学系 教授・キャリア開発委員長) |
下荒さん 鈴木さん 佐藤さん 宮平先生
宮平: まずは、合格おめでとうございます。今日は、皆さんから合格の秘訣をお聞きし、後輩の皆さんへ、アドバイスとしてお伝えしたいと思います。まず、志望を決めた時期はいつ頃でしょうか。
下荒さん: 私は高校生の時から決めていました。大学に進学するか、または専門学校に進学するか迷っていたほどです。大学に進路を決め、1年次の頃から、東京消防庁に入ることを決めていました。
宮平: 途中で気持ちが萎えることは?
下荒さん: 無かったです。つねに情報等を収集してモチベーションを高めていました。
宮平: モチベーションを維持することは難しいことですが、維持するために工夫していましたか?
下荒さん: 実際にトレーニングを行っていましたが、心が折れそうなときはYouTubeの動画で消防学校の動画をみたりしていました。
宮平: 佐藤さん、鈴木さんはいつ頃でしょうか
佐藤さん: 3年次の後期に入ってからです。
鈴木さん: 高校生の時からでしたが、教員にもなりたくてずっと悩み、決断したのが3年次の始め頃でした。
宮平: 「消防でいく」と決めたきっかけは?
鈴木さん: 家族が教員をしていて教員に対する憧れがありました。教育実習にも行きましたが、自分なりに考えて出した答えが消防で、それを家族に伝えたら背中を押してもらたので、決意しました。
宮平: それでは、消防官・警察官を目指した理由はなんでしょう。
下荒さん: 中学生の頃から消防の仕事に興味があって、消防について調べていくうちに、使命感ややりがいを感じたことです。
佐藤さん: 大学に入り、経営専攻で学んでいると企業の方も気になりましたが、父が警察官ということもあり、私自身警察官が向いているのではないかと感じました。
宮平: 本学、特に人間健康学部スポーツ健康学科は、判断推理や数的推理、自然科学、憲法、民法、行政法等、必ずしも公務員の試験の科目があるわけではないわけで、そういう中で、一人で勉強する際どのように工夫したのか、例えば参考書選びだとか、あるいは勉強時間の確保、またトレーニング等について教えてください。
下荒さん: 東京消防庁と決めていたので、実際に東京消防庁の出題傾向を探りました。その中で、自然科学の分野から主に出題されていることが分かり、自然科学の参考書をネットで調べて、ヒットしたものを全てチェックし、消防庁を目指す友人3人でAmazonで販売されていた中古書を購入しました。
宮平: なるほど。今日参考書をお持ちいただきましたが、これから消防官を目指す後輩がいるとしたら、どれから薦めますか。
下荒さん: 数学ですが、TAC出版の「高卒程度警察官・消防官テキスト 数学・数的推理」をお勧めします。実際に受ける試験の内容としては大卒程度だと思うのですが、高卒程度の知識を復習することが大事だと思います。いきなり大卒程度から取り掛かると難しくて、気持ちが折れてしまうでしょうし。
宮平: スポーツでも1km走れない人がフルマラソンを走ることは無理ですしね。できるところから足固めしていくわけですね。なるほど。勉強時間はどのように確保しましたか。
下荒さん: 私は鈴木さんともう1人の友人と一勉強したので、朝8:45に大学に集合してそこから集中力が続く限り...という感じでしょうか。平均して1日6時間から7時間くらいは勉強していましたね。
宮平: 気分転換や体力作りについては?
下荒さん: スポーツ健康学科所属なので、両方兼ねてジムに行きました。
宮平: では、例えばインターバル...○時間は○○というような配分についてはどうでしょう。
下荒さん: はじめに、過去問を2時間解いて、その後、科目別に集計してできていないところを重点的に取り組む、というふうにしていました。
宮平: 1年次からこつこつ勉強していた下荒さんに対し、鈴木さんは3年次からはじめたので、下荒さんからアドバイスを受けたと思いますが、どのようなアドバイスを受けましたか。
鈴木さん: 下荒さんは東京消防庁一筋で勉強しているので、試験やその方法についての知識が豊富でした。その点はだいぶ助かりました。私は大阪の消防も受けたのですが、大阪の消防は東京と違って文章理解文系の方が多く出題され、もし大阪一本で勉強していたら、東京消防庁は受かってなかったと思います。
宮平: 試験というのは対策を取らないと、まず受からないですよね。そういった意味では下荒さんの存在は大きかったですね。では、佐藤さんはどうでしょう。
佐藤さん: 私も、ネットで過去問を調べて出題傾向を把握しました。その上で購入した参考書が新星出版社の「絶対決める!警察官"大卒程度"採用試験総合問題集」。実際の試験の問題形式は選択式ですが、こちらは一問一答で簡単で基礎固めになりました。
宮平: 大学の講義やアルバイト等があると思いますが、勉強時間の確保はどう工夫しましたか。
佐藤さん: 短期のアルバイトを選び、試験前はアルバイトを減らすなど時期によってメリハリをつけていました。警察官は、体力試験もあるので部活動で体力作りをしていました。
宮平: 後輩たちが、皆さんの後ろ姿を見て、「私も警察や消防を目指す」ということが出てくると思うのですが、後輩たちにアドバイスをするのであれば、どういったアドバイスがよいのでしょうか。
鈴木さん: 私の場合1人で勉強したら受かっていなかったと思います。どんなに心が強い人でも、「今日はいいか」みたいな日があると思います。私たちは、誰かが「今日はいいか」と思っても、無理矢理図書館に行って勉強していました。友達が勉強しているのを見て自分を奮い立たせていましたね。集中して勉強するという目的で集まるといいかなと思います。情報交換することにおいても有利ですし。他にも、仲の良い友達が飲み会している時は行きたくなるけれど、皆で勉強していれば誘惑に負けない。近くに同じ目標を持つ人がいた方がいいかなと思います。
宮平: 良い意味で刺激し合うわけですね。佐藤さんはどうでしょう。
佐藤さん: 私は、1人でやっていたことが大半でしたが、友達にも警察官を目指している人が何人かいたので、その人と情報交換をしていました。他にも父の助言から過去の傾向を探ったり、キャリア支援課にもお世話になったりしました。いろいろな人に支えられて勉強できたのではないかと思います。公務員は試験が遅めなので、周りの皆の内定が決まっていくのを見て、「受からないと次がないぞ」と自分自身にプレッシャーをかけました。
宮平: 下荒さんはどうでした。
下荒さん: 大学1・2年次に向けたアドバイスですが、沖縄のゆったりとした雰囲気に流されることや、大学に入ってからどういった勉強をしたらよいか分からない学生が多いと思います。そういう学生には、東京消防庁のことではありますが、大学1年次から説明会に参加できるので、実際に説明会に足を運んでみるのが一番良いと思います。
宮平: ある意味インターンシップのようなものですね。
下荒さん: そうですね。1年生も多く参加しているので、そういった内地の就活生の刺激をどんどん受けた方が良いと思います。
宮平:本学に対する要望はありませんか
鈴木さん: 勉強する場所がほしいです。テスト前だと特に込み合って席を確保するのが大変なので。SAKURAUMが完成すれば、解決すると思いますが。
下荒さん: 論文を添削してくれる方がいたらなと思います。
佐藤さん: 私も論文の添削です。どうしても、筆記試験を重点的に勉強してしまうので、もし、論文添削の機会があれば、とても役に立ったのではないかと思います。
宮平: 例えば、学習スペースを作ったとして、そこに参考書や過去問が取り揃えられていたり、先輩方の対策方法について知ることができる資料があるといいですよね。
鈴木さん: あと、情報量の無さで困っていたので、例えば、論文の出題や面接の種類等について、過去の出題傾向を取りまとめされていると、役に立つと思います。
宮平: ちなみに、面接について、キャリア支援課で対策したことと、実際に行った面接とは、どのような違いがありましたか。
鈴木さん: キャリア支援課では、志望動機や大学で取り組んでいること等について1対1で行いました。東京消防庁では、面接官2人が交互に質問してくるのですが、圧迫(面接)気味でした。「もし、鈴木くんが面接官だったらどうする、どういうところを見るの」という質問に対して答えると、「それを踏まえて、自分はどうなの」等、その他厳しいことも質問されました。下荒さんは、私が受ける前日に面接したのですが、話を聞くと全く違うんです。
下荒さん: 私は、キャリア支援課に通いつめたので、志望理由等についてはどういう角度から聞かれても答えられるよう準備したのですが、実際の面接では、志望動機を聞かれず困惑しました。というのも、はじめから雑談で自己発信していかないといけない面接でした。その点、面接慣れしていない自分としては、このようなイレギュラーな事態が発生した時に、対応力が求められると思いました。
宮平: 今の形式は、おそらくどの学生も戸惑ったと思います。冷静な判断ができるかどうか確かめる面接方法だから、高校、大学で培ったいろいろなものを総合的に多面的に見ようという考えですね。仲間として、消防官としてやっていけるかどうか見極めるためだったのでしょう。佐藤さんの面接はどうでしたか。
佐藤さん: 鈴木さんと同様で圧迫面接でした。「沖縄はどういうところ」という軽い質問から始まり、次第に厳しさが増していきました。内心ムッとするようなことも言われましたが、ここで感情に任せて返してはいけないと思い、自分の意見を真っ直ぐ言えるようにしました。面接では予め考えていたことは役に立たないので、自分の意見が言えるかどうかが重要だと思います。
(一同頷く)
鈴木さん: 自分はこうだ!というぶれない芯を持っていれば、どのような質問をされてもありのままに答えるだけなので。用意は大事ですが、それを答えるつもりで行ったら痛い目に合うこともあるかもしれませんね。
宮平: 取り繕ってもしょうがないよね。相手は百戦錬磨の面接官でしょうし。
鈴木さん: ばれます。緊張しているし、ごまかせないです。
佐藤さん: 私が受けた面接では、面接官に優しい方、厳しい方がいて、やはり優しい方に向かって話をしてしまいたくなるのですが、皆さんに目を配らせ話さないと「逃げてる」と思われます。キャリア支援課で面接練習をしていたという経験が多いほど、実際の面接は楽になります。
宮平: 下荒さんは、キャリア支援課でどのくらい面接練習をしていたのですか
下荒さん: 試験の2カ月前から通ったので、10回くらいです。
宮平: 面接では、芯がしっかりしていないといけないということですが、芯の作り方を聞かせてください。
鈴木さん: 幼い頃から、人の役に立ちたいという思いがあり、親から「周りの人に感謝して生きていきなさい」と教えられてきました。その背景が芯になっています。芯は人それぞれなので、見つけるのは難しいと思いますが、芯が無いと面接は難しいです。
宮平: 芯がないと、言えないし伝わらないでしょう。下荒さん、佐藤さんは?
下荒さん: 得意なこと、これだけは絶対に負けないことが芯になると思います。私の場合は、大学1年次から消防官になりたかった、体を動かすことに苦はなく、消防官を目指すために努力もできるという思いが、ぶれない芯だと思います。「努力できること、好きなこと、得意なことというのは何だろう」と考えていくことが、自分の芯を見つけるきっかけになると思います。
佐藤さん: 目上の方を敬う気持ちや、人の話をしっかり聞くことについては、普段の生活から気をつけていました。特に人の話をしっかり聞くことは、自分の意見の反映することができるので、そこは大事です。今回、グループ面接もあったので、人の話をしっかり聞くことが生きました。
宮平: 人の意見を聞き、自分なりに解釈し理解することが大事ですね。それでは、最後にそれぞれ、どのような消防官、警察官になりたいか聞かせてください。
下荒さん: まずは、一人前になりたいです。東京オリンピックの際に「さすが日本だ」と思われるように、防災や事件を未然に防げる東京を作れるような、一端を担げる消防官になりたいです。
佐藤さん: 警察学校はとても苦しい場所だと聞いているので、その苦しさに負けない精神力を身に付け、何事にも屈しない、市民の盾になる警察官になりたいです。
鈴木さん: 消防官は、自分、仲間、都民の命を守り、救わなくてはならないので、その覚悟をしておき、残りは現場で培っていきたいと思います。また、周りの都民に近い存在になりたいと思います。自分のキャラを生かし、自分にしかなれないような消防官を目指します。
宮平: どうもありがとうございました。ご活躍をお祈りしています。
※国際学群は専攻名、人間健康学部は学科名のみで表記しています。
苦い経験も振り返れば笑い話に
貴重な体験談をありがとうございました
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