沖縄の公立大学 名桜大学(沖縄県名護市)

研究コラム(つながる、つなげる教員の輪)研究

緩和ケアは発展しているのか?

吉澤 龍太/人間健康学部 看護学科/掲載日:2022年1月

 私は、今年度から成人看護領域の教員として着任しました。それまでは県内の急性期病院で、がん患者について緩和ケアを専門的に実践するがん看護専門看護師をして業務してきました。様々な問題を抱えるがんの患者と接していく中で、やはり痛みなどの身体的な苦痛を最優先に対応すべきだと常日頃から実感しています。その中で、いつしかある疑問が生じました。医療の進歩で多くの鎮痛薬や治療法が開発されているが、なぜ、痛みで苦しむがん患者は常にいるのであろうかと。
 緩和ケアの先駆者であったイギリスの医師シシリー・ソンダースは、当時控えられていたモルヒネを鎮痛薬として適切に使用できる方法を確立したこと、1967年に世界初のホスピス病棟を開設するなどの功績があります。その逸話として、ホスピス病棟を視察にきた若い医師団は病棟内を一通り案内してもらった後に「では、ホスピス病棟を案内してもらえますか。」と言った話があります。そこに入院している終末期のがん患者たち(予後は2週間ほど)が、痛みに苦しむことなく読書したり、お茶を飲んだりと穏やかに過ごしていたため、その患者たちが終末期の患者とは思わなかったのです。
 さて、それから半世紀が経っていますが、今入院している終末期の患者は穏やかに過ごせているのでしょうか?痛みを増強させる感情面に対するアプローチは同じくらい進歩しているのでしょうか?我々、看護師は医療の進歩に伴い、薬剤などに頼るのだけではなく、苦悩する人との基本的な関わり方について常に内省と発展を続ける必要があると思います。臨床現場からは離れましたが、常に一医療者としての意識をもち、様々な苦痛と苦悩を抱える人達へのアプローチを科学的に研究していきたいと思います。

mini yoshizawa.JPG

吉澤 龍太(人間健康学部 看護学科 助教)

【専門分野】
がん看護、緩和ケア


よく「県外の方ですよね?」と聞かれますが、沖縄産、沖縄熟成です。
子供は3人、長女はダンス狂、次女はお菓子大好き、一番下の長男はカラテキッズです。
マイブームとしては、昨今の規制だらけのテレビに代わりNETFLIXの面白さに時代の変化を感じています。
映画は好きなので、気分転換に確実につまらないだろうと予想できる映画も一人で観に行きます。

PDFファイルをご覧いただくには、Adobe Readerが必要となります。お持ちでない方はAdobeよりAdobe Readerをダウンロードしインストールしてご利用ください。
掲載されている内容、お問合せ先、その他の情報は、発表日現在の情報です。その後予告なしに変更となる場合があります。また掲載されている計画、目標などは様々なリスクおよび不確実な事実により、実際の結果が予測と異なる場合もあります。あらかじめご了承ください。

Share!

ページトップへ