文学研究に対する私のアプローチは、私が読んだり教えたりする詩や小説を、一種の哲学的実践として考えることです。これらのテキストは概念を「ドラマ化」または「美化」し、議論をまったく新しい、予想外の方向へと進めます。
最近、私の研究の焦点はスペキュレイティブ・フィクション (SF) にあります。SF は、人種差別、性差別、環境災害など、現代社会を悩ませている問題を探求する魅力的な方法だと思います。架空の世界では、文脈を変更して、これらの問題に安全な方法で触れること、批評することができます。たとえば、男性はより理性的で成熟した女性によって管理されるべき弱い性である、と見なされる母系社会を想像することができます。そのような世界を想像することで、私たちは新たな視点を獲得し、私たちが生活する現実世界に「戻る」ことができます。その新たな視点は、私たちの世界が抱える問題に対処するための重要なものとなる可能性があります。
私自身の研究では、哲学者イヴァン・イリイチの「自立共生」の概念、すなわち「他者と相互に依存する中で実現される個人の自由」を、近未来のトランスヒューマンおよびポストヒューマンを題材とした作品を考察するために用います。最近行った研究では、テクノロジーが進歩した未来で動物が人間の知能にアクセスできるようになったら、人間の文化が動物の文化にどのように影響するのかを検討しました。現在は、気候変動を扱ったフィクションの調査に取り組んでいます。特に、私が小説の研究を通して探究するのは「気候変動をうまく抑制するために、人間の文化、そして人間性はどの程度変化しなければならないのか」「気候変動の抑制を実現するために、人間は喜んで何をするだろうか」という問いです。
文学と芸術を学ぶ醍醐味は、美しいテキストの調査を通してどのような答えが出てくるか分からないところです。私はこの研究を続けることを楽しく思っています。
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メーガン クックルマン(国際学部 国際文化学科 教授) 【人物紹介】 |
