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【スポ健 COLUMN】第13号『甲子園と欲』

掲載日:2018年10月16日お知らせ , スポーツ健康学科

 第100回全国高校野球大会の決勝戦を中継したNHK総合の平均視聴率は、関西地区で15.9%であり、大きな盛り上がりを見せた大会でした。一方で、甲子園の問題点についても論じられる機会が多かった大会でした。
 中でも批判の急先鋒である、弁護士で元大阪府知事の橋下徹氏は「甲子園はこれまで徹底的に球児の青春物語を中心とする『きれいごと』ばかりを強調してきた。その結果、高校野球や学校スポーツの世界で蓋をされてきた『負の問題』が何も解決されずに放置され、今それが爆発し始めているのではないか」と指摘しました。甲子園に関する他の橋下氏の主張には賛同できかねる点もありますが、重要な問題提起を行っていると言えます。私が甲子園に関して問題と考える1つに、メディアによる報道姿勢があります。
 NHKの「ニュースウォッチ9」では、連日にわたって、甲子園の様子が伝えられました。スポーツニュースのトップで報じられ、メジャーリーグやプロ野球、さらには、他のスポーツのトップアスリートの状況よりも優先して報じられました。優勝校が決まった際には、スポーツニュースの枠ではなく、全体のトップニュースとして報じられました。テレビ朝日の「報道ステーション」においても、同様の流れで報じられました。トップアスリートではない高校生達による部活動の国内大会を、ニュースのトップとして放送することに強い違和感を覚えますが、日本においては少数派であるかもしれません。
 ジャーナリストの氏原英明氏は『甲子園という病』において、「感動ストーリーをつくり出したメディアが、彼ら高校球児の人生を背負うわけではない。また、高校野球を取り巻いている大人たちも、彼らの人生の責任を取るわけではない」と指摘しています。その上で、「甲子園メディア」の報道姿勢は、改めていくべきであると述べています。同感です。
 「ニュースウォッチ9」や「報道ステーション」というメジャーなテレビメディアのみならず、新聞、雑誌など、多くの機会でメディアに取り上げられることは、その人の人生を良くも悪くも大きく変える結果となります。多くの人達が得られないような、強すぎるスポットライトを高校生に浴びせることは、高校生が持っている日常の感覚を狂わせます。そして、氏原氏が指摘するように、日常の感覚を狂わせたとことに対して、メディアや大人達は責任を取ってくれません。どのような人生を歩むかは個人の自由ですが、「高校生の時代が最も輝いていた」、「高校生の時代が人生のピークだった」と感じる人生を私は推奨することは出来ません。
 しかしながら、甲子園に対するメディアの報道姿勢は今後も変わらないでしょう。なぜなら、メディアのみならず、選手、監督・コーチ、保護者、ファンもこれまでのように甲子園が国民的行事であることを望んでいるためです。全国放送で自分のプレーを映してほしい、指導している姿を取り上げてもらいたい、活躍する我が子を映してほしい、スター選手をもっと見たい...まさに選手の欲、監督・コーチの欲、保護者の欲、観客・ファンの欲、主催者の欲、メディアの欲の凝集点が甲子園です。このような欲の前では、「選手の健康を守る」という正義が勝利を収めることは難しいかもしれません。かく言う私自身もこのような甲子園の問題を書きたいという欲に突き動かされています。
 スポーツ健康学科では、「選手の健康を守る」ための知識や技術を多くの授業を通して学びます。その際に甲子園だけでなく、学校の部活動の在り方を考え、アプローチしていくことが「健康支援人材」に課せられた責務であると考えます。

スポーツ健康学科 大峰 光博

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