沖縄の公立大学 名桜大学(沖縄県名護市)やんばるの豊かな自然の中で国際的教養人を育成します!

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平成29年度 名桜大学入学式 学長式辞

掲載日:2017年7月18日学長室から

 本日、名桜大学は、学群・学部学生494名、助産学専攻科6名、大学院生12名の新入生を迎え入れました。新入生の皆さん、入学おめでとうございます。また、本日ご出席いただきました保護者・ご家族の皆さまと関係者の皆様、並びにご多用なところご列席いただきました来賓の皆様に、名桜大学学長として厚く御礼を申し上げます。

 さて、本学の教育の特色は、「平和・自由・進歩」という建学の精神を反映するリベラルアーツ教育を基盤とし、それを学部と大学院までの専門教育と統合するように設計されていることにあります。リベラルアーツ教育とは、専門分野だけに閉じこもるのではなく、人文科学、社会科学、自然科学を幅広く横断的に学びながら、批判的・論理的に考え、知的倫理性を実践することを目的とした教育です。また、本学では、(主として母語による)文章力、数理分析能力、外国語力、そしてICTリテラシーの4つを基盤として全学のカリキュラムを設計しています。さらに、このような学びを支援するために、言語学習センター、数理学習センター、ライティングセンターを設置しています。これは、グローバル化する世界と、2020年から始まる日本の新しい大学教育をも視野に入れた教育体制です。このような3つのセンターを揃えた大学は沖縄県内では本学だけであり、本学のアクティヴラーニングの殿堂である学生会館「サクラウム」とともに、名桜大学の先進的かつ大きな特色として全国的にも知られるようになってきました。 

 リベラルアーツ教育はよく「教養教育」と日本語に訳されます。このことについて、二点だけ、新入生の皆さんにお話ししたいことがあります。

 一つは、「教養」と言うと飾りもの、知の装飾品だという印象を持つかも知れません。しかし、21世紀においては、文章力、数理分析能力、外国語力、ICTリテラシーを含む「教養」は、どの教育研究分野においてもなくてはならない、きわめて実践的なスキルとなりました。また、これに付随する批判的・論理的思考力と知的倫理性(あるいは社会的責任感)は、個人を鍛え、人生を構築していくうえで不可欠な人間力を養成していく基礎となります。このような知識や思考力は、大学を卒業した後も、皆さんが長い人生の中で自立して学んでいく際に大きな力になります。大学における「教養教育」を「専門教育」と比較し、一段低いものとして見るのは20世紀までの考え方です。21世紀の大学においては、「教養教育」は新しい知を創造していく基盤になるものとして再評価され、高等教育の重要な要素の一つとなりました。ですから、皆さん、名桜大学ではまずは学びのための基盤をしっかりと構築し補強していただきたいと思います。

 二つ目に、リベラルアーツ教育は、「心を解放する」あるいは「人間を自由にする」教育だと言われています。それでは、私たちは何から心を解放し、何から自由になるのでしょうか。私たちの心は、しばしば狭い人間観、世界観、枠にはまった考え方・感じ方、偏見などに呪縛されています。近年、よくメディアなどで使われる言葉に「ヘイトスピーチ」があります。ヘイトスピーチとは、出身国、民族性、皮膚の色、宗教、ジェンダー、性的志向、あるいは身体的障害などを攻撃し侮辱する言動のことです。「言論の自由」が保証されているからヘイトスピーチも許されるという主張もありますが、それはどうでしょうか。映画「男はつらいよ」の主人公寅さんなら、ヘイトスピーチを耳にしたら、あの名セリフ「それを言っちゃあおしまいよ!」と言うのではないか、と私のアメリカ人の友人が教えてくれました。ヘイトスピーチは、個人の尊厳を傷つけ、自由を奪い、平和を破壊します。これとは逆に、「心を解放する」ということは、多様な視点や価値観に寛容になり、個人の才能を伸びやかに最大限に開花させることを可能にします。名桜大学はこのような教育を目標としています。

 21世紀は、あらゆる情報が洪水のように個人の世界に押し寄せる時代です。いま、「フェイクニュース」という言葉が、去年のアメリカ大統領選を契機にグローバルに広がっています。「フェイク」とは「ごまかし、いかさま、虚偽」という意味です。ですから、フェイクニュースとは、「世論形成を目的として、ネットなどで流される偽りの、不正確な情報、あるいは悪意のある誤報」を意味する言葉です。2016年、この言葉はオーストラリアで流行語大賞に選ばれました。また、世界最大の英語辞書である『オックスフォード英語大辞典』を出版しているイギリスのオックスフォード大学出版局は、「ポストトゥルース」(post-truth)という言葉(形容詞)を2016年の国際流行語大賞に選んでいます。Post-とは、「後の」、または「次の」を意味する接頭辞です。しかし、近年、この接頭辞の後にくる言葉の意味する概念が「それほど重要でなくなった」、「時代遅れになった」というような意味を帯びるようになりました。Truthはこの場合は「事実」あるいは「真相」という意味です。ですから、この二つが結合した「ポストトゥルース」は、「客観的な事実よりも、個人の感情や信念に訴えるほうが世論形成により強い影響力を持つ」ということを意味するようになりました。あるいは、ポストトゥルースは「インターネットなどを媒介として、不正確な情報や、根拠の弱い主張が、これまでよりも社会に受け入れられ易くなっている状況」を意味する言葉でもあります。2016年、イギリスのEU離脱を決めた国民投票やアメリカ大統領選をきっかけとして、このような傾向が世界的に表面化してきたと考えられています。日本も例外ではないように思えます。このような時代を、英語では"post-truth age"(「ポスト真実の時代」)と言うようになりました。 この言葉は、21世紀最初の四半世紀を象徴する言葉になるかも知れません。

 このような時代に生きる私たちには、氾濫する情報を適切に分析し評価できるかどうかということが問われています。大学は、人類がこれまで蓄積してきた<知>の広がりと深みを学生に伝えると同時に、その最先端でこのような<知>の伝統を批判的に検討し、新しい知を創造し深化させようとする場です。当然のことながら、大学は「ヘイトスピーチ」や「フェイクニュース」や「ポストトゥルース」とは次元の異なる<知の世界>でなければなりません。大学で学ぶ者には、リベラルに心を解き放ち、事実や真実がどこにあるかを問い続け、借り物でない自らの言葉で世界を表現することが求められています。名桜大学は、このような学びの中から、幅広く豊かな教養と深い専門性を併せ持ち、地域社会に貢献し、グローバル社会で活躍できる人材を育成します。 

 2017年、学群、学部、専攻科、大学院に入学した皆さんが、名桜大学の新しい知の世界で自らを磨き躍動することを期待して、学長式辞といたします。入学、まことにおめでとうございます。

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