沖縄の公立大学 名桜大学(沖縄県名護市)やんばるの豊かな自然の中で国際的教養人を育成します!

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平成28年度 名桜大学 卒業式式辞

掲載日:2017年7月18日学長室から

 名桜大学は、本日、学群・学部学生434人に学士号、大学院生8人に修士号を授与し、社会に送り出します。卒業生、修了生の皆さん、おめでとうございます。また、本日ご出席いただきました保護者・ご家族の皆さまと関係者の皆様、並びにご多用なところご列席いただきました来賓の皆様に、名桜大学学長として厚く御礼を申し上げます。 
 本日は、ここに集う私たちにはいろいろな意味で特別な日です。本日を境に、卒業生、修了生の皆さんの人生が大きく変わっていきます。名桜大学が刊行した名桜叢書の第2巻に作家の佐藤優さんの講演が収められています。佐藤さんは、その中で、古代ギリシャにはクロノスとカイロスという2つの時間の見方があると書いておられます。クロノスは時系列の時間の流れ、カイロスはその前後で世界や人生が変わってしまう歴史的なタイミング、瞬間です。例えば、20世紀の日本の歴史でいちばんわかりやすいカイロスは1945年でしょうか。本日、卒業・修了する皆さんにとっては、2017年3月18日は、皆さんの人生の中では一つのカイロスであると言えるでしょう。本日を境に、学群・学部の学生あるいは大学院生として過ごした時間の流れが切断され、新しい時間の流れの中に皆さんひとりひとりが踏み込んで行きます。

 本日は、また、卒業・修了する皆さん一人一人があらためて自分のまわりを見ると、感謝の日でもあることにも気づくはずです。本日は、皆さんを支えてきた保護者・ご家族の皆さんに、4年間または2年間共に学び支えあってきた学友に、入学してから今日まで厳しくかつ温かく指導し対話をしてきた先生方に、そしてさまざまなかたちで大学生活を支援した事務局職員との絆を振り返り、感謝する日ではないでしょうか。それだけではなく、本日は、名桜大学創立のために尽力された人々、そして本学を支援してこられた設立団体の皆さまのご苦労にも、静かに思いを馳せる日でもあるかと思います。大学教育は、さまざまな力が一つになってはじめて成立するのであります。
 もちろん、学部で124単位以上、大学院で30単位以上を取得し、部活やボランティア活動やアルバイトもしっかりとこなして、本日ここに健康に到達した自分自身に感謝することも忘れてはならないでしょう。この場合は、感謝というよりは、誇りに思う日である、と言ったほうがよりふさわしいかも知れません。また、本日は、この時代に名桜大学で学んだ巡り合わせについて、皆さんひとりひとりに静かに振り返ってみる時間があるかもしれません。キャップ投げが終わった後、またはご家族や友人たちと記念写真を撮りながら、あるいは謝恩会や卒業パーティが終わった後の静かな時間に、本学で過ごした意味やこれからの人生について考える時間が訪れるかもしれません。

 学長からも感謝したいことがあります。皆さんは、名桜大学が公立大学法人に移行して2年目の入学生です。皆さんは、「平和、自由、進歩」という本学の建学の精神を踏まえて、学内や沖縄本島北部地域だけにとどまらず、県内、国内、国外のさまざまな場で活躍し、名桜大学が存在感ある公立大学として成長することに大きく貢献しました。学長として、そのような皆さんの活躍と貢献に感謝したいと思います。

 さて、先ほど、皆さんには新しい時間が始まると言いましたが、今日で皆さんの教育が終わるわけではありません。大学教育を受けた者、あるいは大学院で専門性を深めた者として、皆さんの教育は生涯続きます。これまでの時間の流れは新しい時間の流れと合流し、より深い大きな流れとなります。フレデリック・ロバートソン(Frederick William Robertson)という19世紀イギリスの牧師が、「授業は教室で終わるが、教育は生涯続く。子どもは宇宙に教育されるために生まれてきた」(Instruction ends in schoolrooms, but education ends only with life. A child is given to the universe to be educated)という名言を残しています。人間が自立して学ぶ可能性の大きさを教え、「教育」の深みと広がりを示唆する、壮大なヴィジョンに裏打ちされた言葉だと思います。 
 Instructionとは「知識やスキルを教える活動のこと」ですので、ここでは「授業」と訳してあります。Educationは、教室での「知識やスキルを教える活動」やそのような活動の結果として獲得された知識の体系を意味します。しかし、それだけに限られるものではなく、課外活動、ボランティア活動あるいはアルバイトなどの、教室の外で自ら獲得し蓄積した知識や、日常の生活や職場やコミュニティでの体験の中で得られた深い洞察や教訓を含む広い概念です。ですから、これから皆さんを待つ「教育」とは、「21世紀の新しい知識の体系と、21世紀を生きる中で獲得される深い洞察や教訓の総体」と言うこともできると思います。

 私たちは生涯を通して自らを教育し、成長していきます。21世紀はグローバル化が進展する中で世界の激動が続くでしょう。あるいは、グローバリゼーションはすでに終焉に向かいつつあるという説もあります。いずれにせよ、このような変化の激しい世界では、大学で学んだ知識はすぐに古びて行きます。そして、皆さんは大学で学んだ者として、世界の変容に対応し続けることを社会から要請されています。皆さんがどこにいようと、どのような職業についていようと、自らを教育することをやめるわけにはいきません。人生を通して、他者と協働し、あるいは自立して学び続けることで皆さんの内に秘めた力や個性が花開きます。

 いつの時代も希望と困難がないまぜになって私たちの前に立ち現れてきます。そして、いつの時代においても、困難に果敢に挑戦し世界に希望をもたらすのは皆さんのような青年男女です。名桜大学は学生が生涯をとおして学び続ける力を獲得することを教育の究極の目標としています。皆さんが名桜大学で身につけた自立して課題に取り組む力、生涯を通して学び続け自らを教育する力、他者と力を合わせて目標を達成することができる人間力、新しい世界に踏み込んで行くチャレンジ精神、合理性に裏打ちされた勇気、名桜型リベラルアーツ教育で身につけた総合的な力はけっして古びることはありません。

 本日、名桜大学を卒業・修了していく皆さんのご活躍とご多幸を祈念し、学長式辞といたします。卒業、修了、まことにおめでとうございます。

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