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【スポ健 COLUMN】第4号『スポーツと体罰(1)』

掲載日:2017年1月10日お知らせ , スポーツ健康学科

 文部科学省の調査では、2015年度に児童や生徒への体罰で懲戒処分や訓告等を受けた公立学校教員は721人でした。2014年度の952人から減少しましたが、依然として、多くの児童生徒が体罰を受けている現実が浮き彫りになりました。また、これらの結果は氷山の一角であり、把握されていない体罰の事案も存在すると言えるでしょう。本号と次号では、スポーツと体罰の問題にふれたいと思います。

 学校教育法11条では、「校長及び教員は、教育上必要があると認めるときは、文部科学大臣の定めるところにより、児童、生徒及び学生に懲戒を加えることができる。ただし、体罰を加えることはできない」と規定されています。体罰を行った教師は、刑事上、民事上、さらには、行政上の罰則を負うことがあります。刑事上の罰則としては、体罰の態様によって、刑法208条の暴行罪や刑法204条の傷害罪が成立します。暴行罪であれば、2年以下の懲役、もしくは、30万円以下の罰金または拘留に処せられます。ただし、暴行罪に当るような体罰であり刑事続きに乗ったとしても、書類送検や罰金刑で終わってしまうケースが大半であり、禁固以上の刑にはまずならない現実があります。

 また、民事上の罰則としては、民法709条の不法行為責任に基づき、被害者に対して損害賠償義務を負うことが原則です。国公立学校の教員の場合においては、個人は被害者に対して賠償義務を負いません。一方で、当該教師は、国等が被害者に支払った賠償金に対して、国等から支払いを要求される場合があります。 行政上の罰則としては、教員が国公立学校の教員である場合には、公務員法上の懲戒処分を受けることになります。しかしながら、体罰によって免職といった重い懲戒処分が科されることはまれです。2014年度に、児童や生徒へのわいせつ行為によって免職された公立学校教員は115人であるのに対し、体罰によって免職された公立学校教員は0人です。

 則の適用については問題を孕みつつも、法律で禁止されている体罰を、スポーツの指導者はいかなる理由から行うのでしょうか。弁護士でスポーツ法学会会長の望月さんは、暴力行為をふるう指導者を以下の4つに区分しています。

  1. 確信犯型
  2. 指導方法がわからず型
  3. 感情爆発型
  4. 暴力行為好き型

 ①の指導者は暴力を誤りだとは思わず、有益で必要だと信じています。②の指導者は、暴力が禁止されていることは理解していますが、暴力に頼る以外の指導方法を知りません。③の指導者は、暴力が禁止されていることは理解していますが、感情のコントロールを失って暴力を振るいます。④の指導者は、ストレス解消のため暴力を振るい、暴力行為を楽しんでいます。もちろん、暴力行為をふるうすべての指導者が、明確に4つのパターンに類型化されるわけではありません。暴力を振るうことが楽しく、かつ、そのことが選手に対しても有益と考える「暴力行為好き型」で「確信犯型」の指導者も現実に存在するためです。ただ、一応の類型化に際しては、参考になる規準と考えられます。

 上記の4つの類型化の中で、「感情爆発型」と「暴力行為好き型」の問題性は、合意が得られやすいのではないでしょうか。特に、「暴力行為好き型」にあたる指導者は、直ちに指導の現場から立ち去っていただく必要があるとしか言えません。議論される必要があるのは、暴力を誤りだとは思わず、有益で必要だと信じている「確信犯型」の指導者と私は考えます。暴力・体罰に対して肯定的な考えを持つ指導者は、現在にわたっても、一定数存在します。さらには、生徒や学生の中にも、暴力や体罰に対して肯定的な考えを持っている人が一定数います。次号では、この点について掘り下げていきたいと思います。

スポーツ健康学科 大峰 光博

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