沖縄の公立大学 名桜大学(沖縄県名護市)やんばるの豊かな自然の中で国際的教養人を育成します!

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平成28年度9月卒業・修了式 学長挨拶

掲載日:2016年10月17日学長室から

卒業生の皆様、ご家族、関係者のみなさま、本日はまことにおめでとうございます。名桜大学の9月卒業式にご参加いただき、心より御礼を申し上げます。
 本日、卒業証書を手にした皆さんの凛々しい表情、身のこなし、振る舞いを見ていますと、皆さんのこれまでの成長過程を想像したりします。みなさんが立派な青年男女として成長するのを支えてくれたのは、まずはなによりもご家族の大きな愛情ではなかったでしょうか。それから、言うまでもないことですが、卒業していくみなさん自身の日々の努力が自らを大きく成長させたということがあります。さらに、皆さんを名桜大学で指導した先生方、そして大学運営を支えている事務職員の皆さんが一体となって、皆さんの学びと成長を支援したということが言えるかと思います。
 さて、4年前は、皆さんのご家族は「保護者」でありました。しかし、本日卒業する皆さんは、これからは自立して人生を生きて行かねばなりません。4年前の「保護者」は「保護者」ではなく、これからは家族、そして社会人として共に手を取り合い、助け合って歩んでいく人たちです。皆さんは、なによりも、まずは自らの手で人生を構築し、社会に貢献することが期待されています。
 ところで、今年はたいへん珍しい年です。まず、今年は本日、2016年9月16日まで、沖縄本島にまともな台風がまだ一つもきていません。私はこれまで67年間生きてきましたがこのようなことは初めてです。逆に北海道や東北を台風が直撃し、大きな被害をもたらしています。まるで、日本の北と南がひっくり返ったような印象です。小笠原近海で発生した台風が南に下がってくるということもありました。石垣島と西表島の間にある日本最大の珊瑚礁で大規模な白化現象が起きています。珊瑚が死滅しているのです。大雨が日本を襲い続けています。まるで、映画をみているような現象が次々と起こっています。本学の国際文化研究科長の田代豊先生に教わりましたが、台風がやってきて、暖かい海水と冷たい海水をかき混ぜないと、珊瑚の白化はとまらないそうです。つまり、強い言葉を使えば、このままでは海は死滅に向かって行っているのではないかと心配になります。明日は石垣島やと宮古島を台風が襲うとう予報が出ていますので、珊瑚はすこしは息を吹き返すでしょうか。台風は生命の再生だけでなく、破壊をももたらします。被害は最小限にしてもらって、ぜひ、海水を激しく混ぜ合わせて珊瑚を救って欲しいと思います。生態学が教えるところでは、世界は網の目状に繋がっています。珊瑚が復活すれば、いろいろなところに波及効果があり、海や島が健康を取り戻します。
 本日、卒業し、社会に出て行く皆さんは、今年の9月を特別な思いで記憶し続けるのではないでしょうか。英語で言えば、Remember the September of 2016ということになるでしょうか。韻を踏んでいるので覚えやすいと思います。
 現在の珊瑚の状態や気象状況は、地球温暖化現象と深い関係があるようです。地球温暖化現象は、最近になって突然に起こったことではなく、人類が長い間続けてきた生活の仕組み、つまり産業革命以来の近代工業文明に深く起因するものです。私たちはいまだこのような文明の中で生きています。そして、皆さんは明日からは、このような文明の中で、学生としてではなく、社会人としてどう生きるか、この文明をどうすればいいのかということを真剣に考えることになります。
 私は、決して未来に絶望し、暗い気持ちでこのようなことを申し上げているのではありません。そうではなく、実は、皆さんのような青年男女のもっている力------青年の強いエネルギー、しなやかな想像力、クリティカルな思考力、そしてたくましい実践力------が新しい未来を築いていくだろうと期待しているのです。今年、大学を卒業した多くの青年男女が、人類の、日本の、沖縄の、そしてここ沖縄本島北部地域の未来になるだろうという期待を抱いています。
 名桜大学の教育は、しなやかな想像力、クリティカルな思考力、そしてたくましい実践力を育成することを目標にしています。リベラルアーツ教育とは、別の言葉で言えば、このような力を育成する教育でもあります。
 最後に宮沢賢治の詩を引用して卒業する諸君へのはなむけにしたいと思います。

  新たな詩人よ
雲から光から嵐から
透明なエネルギーを得て
人と地球によるべき形を暗示せよ

  新しい時代のコペルニクスよ
  余りに重苦しい重力の法則から
  この銀河系を解き放て   

  宮沢賢治 「生徒諸君に寄せる」、『春と修羅』) 

「銀河鉄道の夜」を書いた宮澤賢治らしい、壮大なイメージです。ここでいう「詩人」は、若い人、学問を修めた人と解釈してもよろしいかと思います。「雲から光から嵐から / 透明なエネルギーを得て」、「人と地球によるべき形」を示してほしいと賢治は言っているのです。「よるべき」は、よりどころとなるもの、あるべき姿、頼るべき姿、という意味でしょうか。「新しい時代のコペルニクス」とは21世紀の若い青年男女のことです。皆さんのことです。「余りに重苦しい重力の法則から/この銀河系を解き放て」。これも壮大なイメージですが、手に負えなくなった現代文明の危機から人類を解放してくれるような、人間の叡智に期待する言葉です。  
 一人でできないことも、社会全体で力を合わせれば、理想に近づくことができると思います。いまの世界や地球の危機的な状況がそのまま皆さんの未来になってしまい、皆さんの人生を呪縛するのではなく、皆さん自身が新風を吹き込む台風のように、古いエネルギーと新しいエネルギーを混ぜ合わせながら、未来を創造することを期待いたします。

卒業する皆さんの人生が幸福であり、若い力で社会と世界を新たに構築していくというチャレンジ精神に満ちたものであることを祈念して、学長式辞といたします。
ご静聴ありがとうございました。

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