沖縄の公立大学 名桜大学(沖縄県名護市)

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平成27年度 人間健康学部 看護学科 臨地実習報告

掲載日:2016年1月29日お知らせ , 学事報告

基礎看護実習Ⅰ

 1年生は「看護学概論」及び「看護援助論」において'看護とは何か'を学んだ後、実習に参加します。その実習とは看護の実践現場において、看護を必要としている人々の様子や、医療従事者の働きを観察し、どのような支援が行われているのか具体的な事実を通して理解するというものです。看護技術を履修していない段階で、学生の観察力やコミュニケーション能力が頼りの実習です。
 カーテンの隙間から「痛いよ」と訴える患者に学生が気づき、看護師に伝えたところ、患者は痛いのではなく本当は不安なのだと説明し、声をかけてみたらと助言されました。声をかけると患者は手招きし、近づいて来た学生の手を握り嬉しそうに家族の話をしました。この体験から学生は、話を聴くことは患者の心を癒し、立派な看護だと思ったそうです。初めての実習で、どう対応すれば良いのかわからないにもかかわらず、放っておけない気持ちが働き、声をかけました。そこには、患者と向き合う看護学生としての姿がありました。
総評:名城 一枝(看護学科 准教授)
初めての実習で学んだこと
 伊良部 裕也(1年次、7沖縄県立宮古高校出身)
 私は、平成27年8月11日(火)から13日(木)の3日間、県立北部病院と沖縄愛楽園で実習を行いました。看護学科に入って初めての実習ということもあり、最初はとても緊張しながら実習を行いました。しかし、実習をしながら看護師の役割について学んだり、患者さんや入所者の方とコミュニケーションを取るうちに実習を楽しく感じられるようになっていました。今までは、自分が入院して看られる側でケアを受けることはありましたが、実際に自分自身が看る側に立って患者さんや入所者にケアをするという立場に立つことは初めてでした。その経験を通して今まで見えなかったことに気づくこともできました。それは、看る側に立って相手と関わるということは、患者さんの健康状態に異常はないか、何を求めているのかなど、多くの点に注意する必要があるということです。また、それだけではなく観察力や状況判断力など、多くのスキルが看護師には必要ということにも気づくことができました。私にとって、この実習は看護師に向けての大きな一歩となりました。

ケアリング文化実習

 名桜大学看護学科1年次にはケアリング文化実習という沖縄の歴史や文化を継承しながら地域で生活する住民、特に高齢者や障がい者などとふれあい、彼らの人生や生活、地域の絆やケアリング文化を学ぶことを目的とした科目があります。
 平和と歴史を学ぶフィールドワークでは北部地域戦跡、読谷村地域戦跡めぐりをとおして平和・文化を守る大切さを学びました。愛楽園見学実習ではハンセン病後遺症のある入所者の人々の歴史と医療を学び、偏見と差別について看護の視点で深く考えることができました。また、健康相談活動・ふれあい活動では北部の地域で生活している高齢者や住民とふれあい、コミュニケーションをとりました。北部14地域に出向き豊年祭や敬老会などの行事に参加することで、地域住民の絆の強さと若者世代が減少する中で行事の存続や健康課題について学ぶことができました。地域の健康とケアリング文化を身近なものと捉えることができ、健康課題に真剣に考える姿勢が見られました。
 ケアリング文化実習ではゼミ単位で活動を行うため、ゼミメンバーの主体性、計画性と協同して学ぶことが求められます。人間健康学部看護学科では「自己との対話」「他者との対話」「地域との対話」による自己教育力の育成を行っていますが、まさにゼミ活動をとおして自己と向き合い、他者との対話から学びを深め、フィールドワークにでることで地域との対話を体験できる実習となりました。

総評:安仁屋 優子(看護学科 助手)     
永田 美和子(看護学科 上級准教授)
佐和田 重信(看護学科 助教)     
 八木澤 良子(看護学科 助教)     
吉岡 萌(看護学科 助手)        
 

身近な問題に目を向けること

内間 大夢(1年次、沖縄県立向陽高校出身)

 ケアリング文化実習では、様々な実習地区へ行き、そこで現地の方の話を聞くことで普段の講義では学ぶことのできないようなことを学ぶことができました。その中でも、私が今までに行った実習地区で印象に残っている場所は 担当させていただいたA 地区です。まず、実習に行く前に A 地区の歴史や文化など、事前に調べました。そして、その調べたことを基に区長さんへインタビューをし、より深く A 地区について知ることができました。そこで、 A 地区が抱えている問題が少子高齢化であることが分かりました。また、敬老会に参加した際に、お年寄りの方がとても元気だったのが印象的でしたが、やはり、若者が少なかったです。ケアリング文化実習では身の回りにある問題に目を向けるきっかけになれたので、これからも、身近な問題に目を向けて、看護学生として支援できることについて 考えていきたいと思いました。

総合実習:基礎看護領域


 「ターミナルケア実習」では学生は日々、身体機能が低下していく患者を目の当たりにし、患者の嘆く姿にどのように向きって行けばいいのか、悩みながらも、現場の実習指導者と相談・調整しながら、患者の日常生活を整え、患者の気持ちに傾聴し、関わっていくことの大切さを感じていました。「課題探求実習」では退院支援を課題とした学生は患者と共に退院後の生活を見据え、患者の不安や心配を受け止めながら退院支援を実践しました。実際の退院カンファレンスや地域の他職種者との連携から、入院から退院に向けて、地域で生活するための視点や継続看護の重要性を学び得ていました。何れの実習においても看護学生として、チームの一員としての役割を持ちながら、現場の看護師や師長と調整しながら実習に取り組んでいました。総合実習は教員が病棟に常在し実習指導をする体制ではないため、実習現場で困ったことは学生自ら主体的に看護師や師長と相談し、調整しながら問題解決をしていかなればならず、調整能力や判断能力など積極的な姿勢が求められます。報告会では自己の課題を達成するために主体的に行動し達成したという達成感と自信が見受けられ4年間の集大成でもある総合実習の学びから学生の頼もしさを感じました。今後も4年間の学びを糧に自己の看護を振り返り、看護観を育て自己成長してほしいと願います。

総評:基礎看護領域 安里 葉子(看護学科 准教授)

患者さんの退院後をみつめること

 4年次 森本 瑞穂(沖縄県立コザ高校出身)

 今回の総合実習では、「退院支援」に視点をおき、実習に取り組みました。実習では、医療ソーシャルワーカーさんからお話しを聞くことや、実際に退院前カンファレンスに参加させていただきました。そこでは、身体的な障害を有していることや、療養環境が整っていないこと、経済面・社会的側面で問題を抱えていることなど、様々な問題を抱えている患者さんが多くいることを知ることができました。退院したくても難しい状況で、目標や方向性に沿って退院できるように、病院の医療者や、地域の福祉関係・サービスを提供する方々が連携・調整を行っていました。私は退院する時までに、患者さんの身体面の看護だけでなく、健康への意識を高めることや退院後の生活への調整といった看護が重要になってくると実感しました。今回の実習の学びから「その人らしい生活を送るために」という視点で患者さんを看るということを大切にしていきたいと思いました。

成人看護実習Ⅰ グローバルな患者と真摯に向き合うために

 成人看護実習Ⅰは、平成27年5月11日(月)~7月31日(金)に、沖縄県立北部病院、北部地区医師会病院、沖縄県立中部病院、中部徳洲会病院の4施設で行われました。成人看護実習Ⅰでは、救急救命センター、集中治療室、手術室、人工透析室などの救急救命における最前線での見学実習と急性期である病棟実習により構成されています。
 見学実習では、緊急に対応する緊迫した医療者の動きや手術室での緊張感など、クリティカルな場で繰り広げられる張りつめた状況は、専門職を目指すものとしての自覚を改めて促されたようです。また、病棟実習では、臨床指導者の支援を受けながら、多種多様な患者に対峙し、個々のアセスメントや自分のケアプランを随時見直しながら、常に患者のケアに真摯に取り組んでいました。1年次の時のように患者とのコミュニケーションに悩んだり、対応に戸惑っている学生は誰もいなく、3年間の経験を経てたくましく成長した姿がそこにありました。

総評:清水かおり(看護学科 上級准教授)/下地 紀靖(看護学科 准教授)

西田 涼子(看護学科 助教)/野崎 希元(看護学科 助手)

患者と真摯に向き合う姿勢が一番重要

4年次 安慶名浩太(沖縄県立具志川高校出身)

 成人看護学実習Ⅰでは、外国の方の看護ケアを担当させていただきました。外国の方の看護を行う際には、患者の言語、文化、宗教、価値観などを尊重していく必要があることを学ぶことができました。また、手術後の急激な苦痛による身体の変化は、精神的な健康状態影響を及ぼすことを実感しました。そのため、日本語ばかりで話すとボーとして固まる様子が見受けられ、言語でコミュニケーションがとれないことでストレスや不安が増強され、精神的負担になっている現状を実感しました。そこで私は、英語を混ぜて話したり、パンフレットを英語で作成したりして患者との距離を近め、患者をより深く知ることにつなげました。
 今回の実習を通して、言語や文化を考慮し、実際に看護していくことの難しさ、また何よりも患者と真摯に向き合う姿勢が看護者として一番重要な技術であることを痛感し学びました。

公衆衛生看護実習Ⅱ(保健所実習)

 平成27年度は、保健師教育選択制の初回実習でした。編入生を含め4年次30人が、北部福祉保健所・中部福祉保健所・南部福祉保健所・那覇市保健所にて、6月~7月の期間中に1週間の実習を行うことができました。
 実習の目的は、保健所管内地域の特性と保健所の役割・機能と業務内容並びに公衆衛生看護の実際について学ぶことです。今年度は、特に、県型保健所と政令市型保健所の実習であったため、保健所それぞれの特徴・業務等の体験学習ができ、情報共有ができました。学生は、実習目標達成のため、講義・演習で学習したことを、さらに、福祉保健所概況及び関連資料等を参考に、事前学習で理解を深めました。充実した学びの深い実習でありましたこと、関係機関及び実習指導関係職員の皆様に深く感謝申し上げます。

総評:永吉 ルリ子(看護学科 教授)

地域全体の健康づくりを推進している実際について学ぶ

4年次 嘉数 結菜(沖縄県立向陽高校出身)
富山 亜希(沖縄県立向陽高校出身)

 私たちは、6月1日(月)~6月4日(木)の4日間、那覇市保健所で実習をしました。主に各部署の業務内容や保健師の役割、保健所の地域における役割について学ぶことができました。那覇市保健所は県内の他の保健所とは違い、政令市型の保健所であり、その特徴を生かし一部の部署では地区担当制を導入し一人の保健師が住民のライフステージすべてに関わることで、地域の健康問題の大枠を捉えることができると学びました。また、那覇市保健所では、若い世代からの早期疾病予防を目的に20・30代健診事業に取り組んでいます。沖縄県の縮図とも言われる那覇市では、住民が体の異変に気付かないまま重症化している現状があるため、重症化予防という視点でも早期からの健診受診を勧奨していることを学ぶことができました。
 那覇市保健所は一般的に保健所が行っている業務だけでなく、市町村業務の一部を担っています。そのため、より地域に密着して、地域全体の健康づくりを推進している実際を学ぶことができました。

公衆衛生看護実習Ⅲ(市町村実習)

 公衆衛生看護実習Ⅲは、看護学科保健師課程選択コース学生を含む4年次37人を対象として、6月~7月末の期間に3週間2クールの実習を、北部地区3離島を含む15市町村で展開しました。実習内容は、地区踏査や既存資料から担当市町村を深く理解する地区診断や、健康診査等の各種保健事業への参加、個別支援方法の核である受け持ち事例への家庭訪問(継続訪問)、媒体作成から指導計画・実施まで、学生が主体的に行う健康教室等があり、担当保健師の指導のもとで公衆衛生看護の学びを深めました。指導者からは「積極的に質問があり学びの姿勢がよい」との評価をいただきました。また、今年度から新カリキュラム保健師選択コースの4年生が初めて実習を行っており、現場からは「保健師になりたいという熱意が実習態度と内容に現れており大変良いと感じた」等、お言葉をいただきました。
 実習市町村の指導保健師の皆様及び関係職員の皆様からのご指導を賜り、学びの多い素晴らしい実習ができましたことを感謝申し上げます。

総評:比嘉憲枝(看護学科上級准教授)

離島で働く保健師の魅力を実感

4年次 嶋﨑 穂菜美(長崎県佐世保西高校出身)
山城 真梨奈(沖縄県立辺土名高校出身)

 私たちは、伊江村医療保健課で3週間の実習をさせていただきました。私たちは、ぜひ離島で実習をしたいと考え希望しました。実習では、家庭訪問や育児サークルでの健康教室や各種健診や予防接種、その他多くの保健事業に参加させていただきました。健康教室は実習開始約1か月前から指導案を考え、模造紙の媒体や配布パンフレットなど準備を行い、育児サークルのお母さんたちを対象に、「乳児の誤飲予防や対処について」のテーマで実施しました。乳児のモデル人形を使って、実際に誤飲した時の対処方法の実践を行うなど工夫しました。参加してくださったお母さん方からの反響がよく「分かりやすかった」と言ってもらえて安心しました。また、お母さん方は、知っている情報を共有したり、育児に熱心で、地域で子どもを育てていこうという気持ちが強いのだと感じました。伊江村での3週間の実習を通して、保健師業務の実際を知ることができ、住民の方々と触れ合いながら事業を行っていくことで島の方々の温かさにふれる体験ができて、離島で働く保健師にとても魅力を感じました

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