沖縄の公立大学 名桜大学(沖縄県名護市)

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民泊の理解と地域課題解決に向けた応用をテーマにしたプロジェクト学習が実施されました

掲載日:2026年2月6日お知らせ , 健康情報学科

 公立大学法人名桜大学(沖縄県名護市、理事長:高良文雄、学長:砂川昌範、以下、名桜大学)は、株式会社穴吹ハウジングサービス(香川県高松市、代表取締役社長・新宮章弘、以下、あなぶきハウジングサービス)、およびあなぶきハウジングサービスのグループ会社で、沖縄県内にて民泊運営代行事業を行う株式会社OneNote(沖縄県那覇市、取締役社長・尾崎秀尚、以下、OneNote)と共同で、2025年度後学期に産学連携によるプロジェクト学習(科目名:プロジェクト学習 (観光・民泊)、科目担当教員:木暮祐一)を開講しました。本演習は、沖縄県内で展開されている民泊について座学と見学を通じて理解を図ると共に、「アイデアソン」を通じて民泊を応用した地域課題解決についてアイデアを競うことで、学生それぞれの専門性を活かした課題解決のアプローチと地域に根付いた新規事業創出に向けた事業企画のノウハウを身につけることを目的として実施されました。

 演習は4回に分けて実施されました。初回は座学により地域の観光課題へのアプローチの一つとしての民泊事業について理解すると共に、あなぶきハウジングサービスのグループ企業が手掛ける地域課題に対する事業事例やマーケティング手法について学びました。
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初回の座学講義では民泊がどのようなものかを理解し、さらに事業企画のポイントなども学びました

 第2回目はOneNoteが運営管理する名護市周辺の民泊施設を見学し、立地やコンセプト、ターゲット層およびホテル等との違いについて理解をした上で、ホテルや民宿とも異なる宿泊形態の在り方について理解を図りました。

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名護市の住宅街にある戸建て住宅を活用した民泊物件

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本部町具志堅の別荘を活用した民泊物件

 第3回目ではOneNoteが管理する民泊施設において合宿を実施して、沖縄本島北部地域における観光や民泊の活用についてアイデアを模索するアイデアソンを実施しました。  参加した学生は国際観光産業学科、国際文化学科、健康情報学科などそれぞれの専門性を活かして、地域の課題解決に向けた事業企画を競いました。学生目線の発想で地域課題を発見し、グループワークを介して地域課題とその解決方法について論理的に思考すると共に、その考えを発表することで自身の意見を表現する能力を磨くことができました。

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アイデアソン合宿で利用した民泊施設

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各チームに分かれてアイデアソンに取り組みました。各チームにあなぶきハウジングサービスグループの社員がメンターとして付いて指導を実施しました

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夕食にBBQを実施。夕食後も議論が続きました。

 企画したアイデアをプレゼンテーションする第4回目の演習では、あなぶきハウジングサービスの新規事業企画を担当する取締役が来学し、学生たちのアイデアに対して講評を行いました。

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第4回の最終プレゼンテーションに挑んだ4チーム

 産学連携による本演習を通じて、本学学生たちは地域社会における課題の認識と課題解決に向けた主体性を持った学習力を身につけることができました。ご協力いただいた、株式会社穴吹ハウジングサービス、および株式会社OneNoteの関係者の皆様に心よりお礼を申し上げます。

最優秀賞を受賞したチームからの報告

最優秀賞: 名護版「まちごと民泊」構想 チームメンバー:
香村 拓(国際学群4年次、沖縄県立美里高校出身)、森木 陽斗(健康情報学科3年次、佐賀県立神埼高校出身)、天願 海八(国際観光産業学科3年次、沖縄県立浦添高校出身)、遊佐 桃花(健康情報学科2年次、埼玉県・本庄高校出身)

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最優秀賞を受賞したチームには株式会社穴吹ハウジングサービス 取締役・平山俊一氏より民泊無料宿泊券が贈呈されました

 私たちが提案し、最優秀賞を受賞したのが、名護市中心市街地を舞台に、街全体を「一つの宿」として捉える分散型の宿泊モデル、名護版「まちごと民泊」構想です。宿泊機能を一つの建物に集約するのではなく、地域内に点在する空き家や既存店舗、通りや広場などの都市空間を活用し、空き家は客室、地元飲食店はダイニング、街の通りは廊下やロビーとして再構成します。宿泊者は建物に泊まるのではなく、まちに泊まる。この体験価値を核に、滞在満足度と地域内消費を同時に高めることを狙いました。

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まちごと民泊の概要

 この発想は、イタリアで生まれた「アルベルゴ・ディフーゾ(分散型ホテル)」の概念にも通じます。既存ストック(空き家等)を活かしながら地域価値を再構築し、観光の受け皿を点ではなく面で設計するアプローチです。ただし私たちは、単に分散配置するだけでなく、名護の中心市街地に固有の課題に合わせた運用モデルとして成立させることを重視しました。

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まちごと民泊の起源

① 名護の課題に対するアプローチ
 名護市街地は魅力的な飲食店が多い一方で、観光客の主要な宿泊先であるリゾートホテル等から距離があり、さらに「飲酒後の移動手段」がボトルネックとなって、夜間の消費機会が生まれにくいという課題があります。また、市街地の空洞化、夜間経済の損失、悪天候時の観光不在という観点でも機会損失が存在します。私たちは、夜と雨天という空白を埋めるには、宿泊の設計を起点に回遊と消費を生み出す仕組みが必要だと考えました。

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沖縄県名護市の現状

②提案の核: 3つの解決策
 本構想では、課題を同時に解くために、ハード、ソフト、データの3点を柱に据えました。  第一に「ゼロメートル移動(ハード)」です。中心市街地の空き家をリノベーションし、繁華街の中に宿泊拠点を分散配置することで「飲んだら、すぐそこが家」という状態をつくります。移動の不安を小さくし、夜の滞在時間を伸ばすことで、飲食店への経済波及を狙います。
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解決案① ゼロメートル移動の実現

 第二に「NAGO NIGHT CULTURE BOX(ソフト)」です。宿泊先での2次会需要や雨天時需要を満たす仕掛けとして、飲み直しセットや体験要素などを同梱し、室内自体をエンタメ化します。単なる宿泊ではなく「部屋に戻ってからも楽しい」「雨でも過ごし方がある」という体験価値を提供し、滞在満足度を底上げします。
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解決案② NAGO NIGHT CULTURE BOXについて

 第三に「人流データ活用(スマートシティ)」です。宿泊者の移動や滞在の傾向を可視化し、夜間の回遊ルートを把握することで、店舗運営や観光施策へ還元する設計を置きました。データを集めること自体を目的とせず、地域の改善に活かすための使い方まで含めて提案しています。
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解決案③ 人流データの活用


③収益モデルと導入ロードマップ
 収益面では、宿泊収益、CULTURE BOX販売、データ提供と送客の3本柱で地域全体からの収益化を狙う設計としました。導入は、空き家3棟での実証から始め、10棟へ拡大し、最終的には30棟体制でデータ連携と他地域展開につなげる段階的なロードマップを提示しました。夜間消費の拡大による飲食店への経済波及、管理不全空き家の解消、そして「雨でも夜でも楽しい名護」という観光ブランディングの確立を期待しています。
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ビジネスモデルと収益構造について

image083.jpg導入ロードマップについて

④提案が固まるまでと、2時間での方針転換
 今回の提案は、最初から「まちごと民泊」を主案として進めていたわけではありません。当初は、空き家の民泊化とCULTURE BOX販売を先行させ、収益と実証を積み上げた上で、数年後に「まちごと民泊」へ拡張する段階的な計画を想定していました。ところが最終発表の直前、企業の方から「まちごと民泊と同時進行でも良いのではないか」というフィードバックをいただきました。  そこで私たちは最終発表に向け、提案の軸を急遽組み替える決断をしました。発表まで残り約2時間という状況で、構成とストーリー、要点の見せ方を一から組み直し、「まちごと民泊(ハード)とCULTURE BOX(ソフト)を組み合わせて地域課題を同時に解く統合案」として提出したのが最終案です。短時間での再設計は容易ではありませんでしたが、現場を知る企業の視点を取り込み、提案の一貫性と説得力を高めることができたと感じています。


⑤演習を通じて得た学び
 本演習を通じて、地域課題の理解と事業として成立させる設計を往復しながら企画を磨き上げる重要性を学びました。アイデアを出すだけでなく、現場の制約や関係者の視点を踏まえて仮説を組み替え、限られた時間で伝わる形にまとめ切る力は、実社会の課題解決に直結する学びだと実感しています。こうした実践的な学習を学生の段階で経験できたことは、今後の進路や取り組みにおいて自分にとって大きな武器になると感じています。  また、本演習で得た提案を単発の発表で終わらせず、名護市をはじめ地域の関係者とも連携しながら、実証と改善を重ねて本格的に事業として形にしていきたいと考えています。授業で培った企画力と、データと現場理解を往復する姿勢を活かし、地域の価値を高める取り組みへとつなげていきます。

報告:森木 陽斗(健康情報学科3年次、佐賀県立神埼高等学校出身)
木暮 祐一(健康情報学科 教授)

■あなぶきハウジングサービス概要
社名:株式会社穴吹ハウジングサービス
本社:〒760-0027香川県高松市紺屋町3-6
設立:1983年11月28日
資本金:1億円
代表者:代表取締役社長 新宮章弘
事業内容:分譲マンション等の建物管理事業・賃貸仲介・賃貸管理事業・パーキング事業等
URL:https://www.anabuki-housing.co.jp

■One Note概要
社名:株式会社OneNote
本社:沖縄県那覇市松尾1丁目10番24号 ホークシティ那覇ビル8F
設立:2015年10月1日 資本金:9,900,001円
代表者:代表取締役社長 尾崎秀尚
事業内容:民泊運営代行業・ホテル運営代行業等
URL: https://www.1note.co.jp/


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