国際学群国際文化専攻(現:国際文化学科)志田ゼミから、2024年度卒業生・宮城潤夏さん(沖縄県立読谷高校出身)が、高麗大学国際大学院修士課程に合格しました。高麗大学は、ソウル大学、延世大学と共にそれぞれの頭文字をとって「SKY」と称される、韓国における最難関校の一つです。宮城さんは同時に、延世大学国際学大学院にも合格するという快挙を成し遂げました。
令和7年7月4日、宮城さんと指導教員の志田淳二郎上級准教授(国際学部 国際文化学科)が学長室を訪れ、砂川学長に合格を報告しました。砂川学長からは、「大学院進学は自身の専門性を極め、将来の選択肢を大きく広げる可能性を秘めています。今回の挑戦は、後に続く学生たちの素晴らしいロールモデルとなるでしょう。名桜大学で学んだ知識や経験を糧に、研究に邁進してください」と激励の言葉が贈られました。
左から志田上級准教授、宮城潤夏さん、砂川学長
宮城さんのコメント
私は韓国系アメリカ人の父と沖縄出身の母の下、沖縄で生まれ育ちました。自分自身のアイデンティティーや沖縄という土地柄もあり、国際関係について早い段階で関心を持つようになりました。名桜大学では3年次から語学教育専攻に進み、国際文化専攻の志田先生のゼミで仲間と共に国際関係の勉強に打ち込みました。両専攻でたくさんの素敵な先生方からご指導をいただいたことは大きな財産です。また、韓国語能力の向上のため、在学中に延世大学韓国語学堂への語学留学も経験しました。
高麗大学国際大学院では、日本、アメリカ、韓国の三か国の安全保障協力について研究します。研究では日本語、英語のみならず韓国語の資料やデータなどを用いて、インド太平洋地域の平和と安定に貢献するような日米韓三か国の安全保障協力の在り方を探求したいと考えています。沖縄で生まれ、恩納中学校(現・うんな中学校)、読谷高校、名桜大学を卒業した「うちなんちゅ」として、研究に励みたいと思います。
宮城さんの研究について/指導教員 志田上級准教授から
韓国を代表する2つの最難関校の大学院から合格を勝ち取った宮城さんを指導できたことを誇りに思います。宮城さんは、日米韓三か国安全保障協力に関する卒業論文を英語でまとめ上げました。この卒業研究が、これから取り組む韓国での研究テーマの基盤となっています。
第二次世界大戦後、アメリカはソ連の共産主義に対抗するため、ヨーロッパではNATO(北大西洋条約機構)を結成、アジア太平洋地域では「ハブ・アンド・スポークス」型の同盟システムを形成します。このシステムはアメリカを「ハブ」とし、日本、韓国、フィリピン、オーストラリア、ニュージーランドなどを「スポークス」とする二国間または三国間による、自転車の車輪のような同盟関係です。
現在は冷戦終結後ですが、核・ミサイルの拡散や力による現状変更の試みといった脅威が沖縄周辺地域で見受けられます。こうした脅威に対し、地域の平和と安定に貢献する「スポークス」である日本と韓国の協力強化、そして両国の条約上の同盟国であるアメリカとの関係を強化した日米韓の三か国安全保障協力の形成は、理論的に有効な選択肢として考えられます。ところが、近年までこの三か国協力は進展しませんでした。それはなぜなのか。宮城さんはその背景を、国際システム、国家(国内政治状況)、個人(政治指導者)の3つの分析レベルから考察し、三か国協力を推進または阻害する要因を解明しました。
現在の日本の外交・安全保障政策の方向性として、日米関係の強化に加え、韓国をはじめとする自由・民主主義の価値観を共有する国々との連携強化が謳われています。日米韓の三か国安全保障協力に関する宮城さんの研究は、今後の日本を展望する上でとても重要な意味を持ちます。高麗大学国際大学院で同テーマをさらに深化してくれることを大いに期待します。