学内宿泊研修施設一時貸出を利用した学生インタビュー Vol.2
「住居探しの不安なくスタートできた新入生生活」
現在、名護市における賃貸物件の状況について、受験生や保護者の皆様からご心配の声をいただいています。特に、学生向けのアパート確保が難しいのではないかというご不安について、大学としても深く認識しています。本学では、入学時に住居が見つからない学生に対し、名桜大学キャンパス内にある宿泊研修施設を一時的に貸し出す措置を取っています。
■学内宿泊研修施設一時貸出措置の概要
大学周辺で学生が入居する不動産物件は、卒業していく学生と新入生が入れ替わる形で賃貸されているため、これまで供給が不足するということはありませんでした。しかし、前入居者の退去後に室内クリーニングなどのメンテナンスが行われることから、4月の入学までに入居できず、その間にホテルなどに滞在しながら通学する学生も見受けられました。
さらに、昨今は近隣に開業するテーマパークや辺野古関連の工事などの影響も受けて賃貸物件が一時的に不足する事態となっています。このため、名桜大学では2024年度から入学までに住居が見つからない学生向けの特別措置として、キャンパス内宿泊研修施設の一時貸出を開始しています。2024年は6名、2025年は40名の学生がこの措置を利用しました。
宿泊用に提供した施設はワンルームマンションタイプの留学生センター(留学生用宿泊棟)とコンドミニアムタイプの北部生涯学習推進センター(滞在型研修室)で、留学生センターは1室1名での利用、北部生涯学習推進センターは1室2名(ベッドルームと洗面所等は個別)で利用いただきました。
実際にこの措置を活用した2名の学生の声をお届けします。Vol.2では、コンドミニアムタイプの北部生涯学習推進センターに約1カ月半滞在した木村 心咲さんにお話を伺いました。
北部生涯学習推進センター滞在型研修室
■合格発表からのアパート探し
健康情報学科1年次・木村 心咲(きむら みさき)さん
(青森県立青森西高校出身)
──合格発表から余裕がないままの名護市への引越しは大変でしたね。
私は一般選抜後期日程の入試で人間健康学部健康情報学科を受験し、合格発表は3月21日(金)でした。合格通知と共に名桜大学周辺でアパートを管理する不動産会社の一覧も送られてきたのですが、さっそく各社に電話をしたものの、空いている物件が見つかりませんでした。やむを得ず入学してからアパートを探そうと、ホテル住まいを覚悟して入学手続きを行いました。
4月に入り、ホテル住まいをしながら通学していたところ名桜大学の宿泊施設に入居できる特別措置を知りました。さっそく申し込み、4月中旬にホテルから北部生涯学習推進センターに移りました。その後、不動産会社から連絡があり、5月中旬頃に入居が可能という物件が1件見つかり仮押さえをすることができました。しかしながら仮予約していたアパートはメンテナンスやクリーニングに予定よりも時間がかかり、ようやく入居ができたのは6月に入ってからとなりました。
その間の約2カ月間、名桜大学のキャンパス内で生活しました。施設利用料の負担は、特別措置ということで留学生センターの寄宿料と同額にしていただき大変助かりました。
■一時滞在することになった北部生涯学習推進センター滞在型研修施設
──キャンパス内にありながら、じつは名桜大生にもその存在をあまり知られていない北部生涯学習センター滞在型研修施設は、どんな施設でしたか?
滞在した北部生涯学習推進センター滞在型研修施設は2階建てで各階3室、計6室があり、1階は男子学生、2階に女子学生が滞在しました。1室は約20畳のリビングダイニングキッチンと、約12畳のツイン寝室が2室、また各寝室に専用のトイレ、洗面所、浴室が付いていました。リビングやお風呂からは名護湾が望める素晴らしい眺望でした。1室を2名で利用する形で、リビングダイニングは共用ですが、寝室やトイレ、浴室などは専用でしたのでプライバシーもしっかり守られました。
北部生涯学習推進センター滞在型研修室
こちらが滞在した部屋の玄関!
玄関を入ると明るいリビングが。眺望も抜群でした
リビングとキッチンは同室者と共用でした。語らいの場でもありました
──滞在型研修施設の使い勝手はどうでしたか?
リビングダイニングは調理器具や食器類など必要最小限のものが揃っていて、実質手ぶらで入居しても困らない状態でした。実際に、この滞在型研修施設を退去して新たなアパートで一人暮らしを始めてから、生活に必要なものを揃えていきました。滞在型研修施設はツインの寝室が2つあり、実際には定員が1室4名の宿泊施設だったようですが、そこを2名で利用していました。寝室にはベッドが2つありましたから、両方とも使ってのびのびと寝られました。専用の浴室も広くて、ブラインドを開ければ眺望も広がりました。何より、静かで快適でした。
専用の寝室はベッドが2つ
寝室の奥に専用の洗面所、トイレ、浴室などがあります
──同室者はどんな方でしたか?
同室になったのは同じ学科の女子ということでとても親しくなり、入学後の学習では分らないところを助け合いながらこの部屋で一緒に課題に取り組んだりと、知らない街で一人暮らしを始める前に、良い形で大学生生活のスタートを切ることができたと思います。
──滞在型研修施設での生活で、よかったこと、逆に困ったことなどあれば教えてください。
不便な点は、やはり買い物ですね。大学周辺にはスーパーなどがなく、コンビニエンストアも遠いです。入居してすぐに電動自転車を購入し、自転車で市内を走り回っています。ただスーパーへの買い物の往きはよいのですが帰りは坂を上るので大変です。平日は忙しいので、週末に1週間分の生活必需品をまとめて買い物に行っていました。大学では通学用のバスを定時運行しているので、それを使って市内へ出かけることもできます。ただキャンパス内の通学バス停留所は宿泊研修施設から離れているため、重い荷物を持って帰ってくるのはなかなか大変でした。一方、メリットとしてはキャンパス内に住んでいましたから、授業に行くにはこんな便利なところはありませんでした。教室によっては数分でたどり着けました。
■沖縄での生活はいかが?
──アパートにも転居され、新たな生活が始まっていると思いますが、日々の沖縄の生活はいかがですか?
一人暮らしを始めたアパートは、大学が運行する通学用バスの停留所が近いため、通学にはバスを利用しています。友達と一緒に帰ったり、週末は一緒に遊んだりといった、当たり前の学生生活がようやく堪能できるようになりました。日々充実しています。
大学での学業も精一杯取り組んでいますが、それ以外にも琉球frogsや沖縄県警察の大学生少年サポーターの活動など、社会活動にも積極的に参加して、学外の方々との接点も拡げています。毎日忙しいですが、充実した学生生活を送ることができています。
──名護市に引っ越されてきて、どんな印象ですか?
やはり沖縄は暑いところだと実感しています。何より日差しの強さは段違いですね。まだ冬は経験していませんが、きっと「雪かき」はしなくても良さそうなので嬉しいです。あと、思いのほか小さな街だったという印象です(人口約30万人の青森市に比べ)。
──ありがとうございました。
■在学生の約80%が一人暮らしをしている名桜大学
名桜大学には、現在2,386名の学生が在学しています(令和7年5月1日時点)。このうち約半数の学生は沖縄県外から進学してきています。しかもその出身地は全都道府県に拡がっています。また沖縄県内からの進学者も、中部、南部からは毎日の通学が難しいことから、在学生の約80%が名護市内で一人暮らしをしています。名桜大学の教職員も含めると、名護市の人口の中でも名桜大学関係者が大きな割合を占めてきます。
名桜大学都道府県出身別学生数
学生にとっても、名護市は安心して生活できる環境が整っているといえます。豊かな自然に囲まれています。美しいビーチや観光スポットも多く、アウトドアレジャーを楽しむことができます。年間を通して温暖で過ごしやすい気候に恵まれ、沖縄本島の中でも比較的ゆったりとした時間が流れる地域で、落ち着いた生活を送りたい学生に最適な地域といえます。アルバイトなどの雇用においても、地域の皆様が学生生活に支障がないよう配慮いただいた雇用を多数創出いただいており、名桜大学学生による労働力が地域を支える大きな原動力になっています。
近隣のテーマパークの開業や辺野古周辺の工事などの影響を受け、名護市内の賃貸物件が不足がちになり、名桜大学、名護市、北部広域市町村圏事務組合の三者で協議会を発足させ、対策について検討を行っています。
今回ご紹介した、アパートの入居が間に合わない学生向けの特別措置については、本年最大40名の学生がこの措置を活用しましたが、8月末までにすべての学生が退去して一人暮らしを始める予定です。テーマパークや辺野古周辺関係の工事は順次終了する予定で、こうした工事関係者が退去していくことで、賃貸物件不足の問題は順次解消される見込みであり、名桜大学では入学生の要望を聞きながら今後も柔軟な対応を検討していきます。
※本記事は、取材対象の学生ご本人の同意を得たうえで掲載しています。
(文責 名桜大学広報室・木暮祐一)