公立大学法人名桜大学

 

第9回名桜大学人間健康学部公開シンポジウム

 平成26年3月14日(金)に名桜大学多目的ホールにおいて、第9回名桜大学人間健康学部公開シンポジウムが開催されました。『学生が主人公となる学び舎づくりを目指してー名桜ナースが語る参画型看護教育の成果と課題』をテーマに掲げ、卒業生(1期生2人、2期生1人、3期生1人)と4年生、2年生をシンポジストとして迎え、会場の皆さんにも討論に参加してもらうというこれまでにない企画となりました。本学の開学20周年、公立化5周年の記念事業でもあり、理事長、学長はじめ市民と関係者、そして本学の多くの卒業生(看護学科同窓生)など総勢171人の参加があり、本学の看護学教育に対して卒業生、学生から評価をしてもらうという全国でも珍しい大変ユニークな取り組みとして開催されました。

 名桜大学人間健康学部は平成17年にスポーツ健康学科が設置され、平成19年に看護学科が開設されました。当時の日本の看護界では看護学校を卒業して就職するが直ぐに辞めてしまう、いわゆる新人看護師の離職問題が大きな社会問題となっており、名桜大学看護学科では「踏みとどまる力」「積極的にその場に自分の身を投じる力」いわゆる「コミットメント能力」を育成することを中核としたコンピテンシーモデルによる参画型看護教育の取り組みが始められました。「協働と参画」は21世紀市民社会におけるグローバルの理念でもあり、そのような未来を生きる看護師をどのように育てるのかを、この7年間教師たちは、朝早くから夜遅くまで語り合い実践してきました。具体的には、①自己との対話、②他者(仲間や教師)との対話、③社会との対話をカリキュラムに盛り込み、その授業形態としては協同学習理論にもとづいて少人数(チュートリアル)教育を基本にして、さらに先学(先輩)が後学(後輩)に自分たちの経験を伝承するという学びの文化(ピアエディケーション)の伝統が形成されてきました。一方、正課外での学生の学びの場は広大なヤンバルを名桜大学のキャンパスとして捉えて展開しており、学生はこの地域にボランティアとして4年間を通じて様々な活動に参加してきました。特に名護市の宮里地区における朝市健康相談の活動実績は内外から高く評価されています。これらの名桜大学の参画型看護教育を乗り越えた卒業生がどのように臨床の場で活躍しているのか、またどのような困難を抱えているのかを大学としても大いに関心がもたれるところでありました。

 シンポジストからは次のような報告がありました。 「人と話すのが苦手でした。ゼミ活動では自分の考えをしっかり言えるような場があったことから、次第に話せるようになりました。入学時から学科の合言葉の『気になったらレスポンス』が自分を最も成長させたと思います。医療現場では1つのミスが命に関わるので、医師の指示でも他の情報でも鵜呑みにせずに気になったらレスポンスを心掛けたい」(安慶名直人、3期生)。「学生時代はお互いに意見を出し合って掘り下げて考える機会が多くありました。自分と違う価値観に触れることも多々あり、多くの気付きにつながりました。また就職してプレッシャーを感じ、未熟な自分にショックを受けたが、逃げずに何が問題なのか、一歩踏み出すにはどうすればいいのかを考えることができたのも学生時代に学んだことです」(野崎希元、1期生)。「看護学科ではよくカードメソッドが使われました。ファシリテイターの役割もやったが、人の意見や考えを引き出す難しさを実感しました。先生方は学生が意見を出しやすい質問をしてくれたり、場づくりをしてくれたことを実感しています」(松川美咲、1期生)。「名桜大学では学業の他に地域でのボランティア活動やクラス運営など多くの経験をさせてもらいました。1人ではできないことを仲間や教師、学科全体として、そして地域と協働して取り組むことの大切さを学びました。同時にそれらは当り前ではなく、感謝の気持ちも大切であることを学びました。現在、職場で協働の輪をどのようにつくるか考えています。これも名桜大学での多くのチャレンジがあったから。先生や仲間がいたから現在の自分があるのだと実感しています」(鯉淵乙登女、2期生)。

 在学生からは「現在自分たちが取り組んでいる名護市の宮里公民館で行っている朝市健康相談での多くの学びを後輩に伝承していきたい。看護学科の魅力としてゼミ活動では一人一人の個性を尊重したり、それぞれが役割分担をしっかり遂行することでチームの達成感や信頼感ができたこと、相手を気に掛け合ったり仲間と支え合いながら取り組むことができたことは将来、看護をしていくうえできっと役に立つと思います。4年間のゼミ活動と対話によって成長できました」と語られました。

 また第2部では、小グループに分かれてのミニ討論とその場で話し合われた内容の発表と、そして発表内容に関してさらに討論が重ねられて、会場はダイナミックかつ、熱く話し合いが展開されました、卒業生も大勢参加しており、昔の仲間の発言に笑いと声援や拍手が飛び交っていました。フロアーから卒業生のA君が「看護師として働いていて、いろいろ積極的に行動したら先輩からは突っ込まれてしまい、ポシャッてしまった」との発言に対して、琉球大学医学部付属病院看護部長の下地孝子さんから「そのときにどうすれば良いでしょうか?」との問いが発せられ、しばらく考えてAさんは「逃げないで、もう一度先輩に聞いてみる」との発言に会場からは大きな拍手が沸きました。下地孝子さんから続けて「看護師は命に関わる仕事であり、ミスで死に至ることもある責任の重い仕事です。今後とも名桜大学の参画型看護を継続してもらいたい。職場で悩むことがあっても名桜大学で培った『踏みとどまる力』を発揮してほしい。その先にこそ看護のすばらしさが待っています」と激励の言葉をいただきました。

総評:人間健康学部長 金城 祥教(看護学科 教授)


  
卒業生 安慶名直人氏    卒業生 鯉淵乙登女氏   卒業生 野崎希元氏

  

卒業生 松川美咲氏    在学生 與儀まゆみ氏  在学生 比嘉司氏


グループに分かれてゆんたく(ミニ討論)。
琉球大学医学部付属病院 下地孝子看護部長(前列左側)も熱い討論



4月から本学看護学科に入学する名護高校3年生の3人が参加し、これからの大学生活に夢を膨らませました。

 シンポジウムに参加して 

上原 千里さん

入学してからどんなふうに学べるのか、学ぶ方法、課題を知ることができてよかったです。







古堅 七都さん

卒業生の話を聞いて、現場でも活かされていることが分かって、これから学ぶのが楽しみになりました。







上江洲 梨紗さん

卒業生の貴重な話が聞けてよかったです。入学前で不安がありましたが、先輩方がきらきらしていて憧れました。目標に向かっていく姿を見て、私もがんばりたいと決意しました。



       
 


卒業生インタビュー

 当シンポジウム開催を機に集まった卒業生は、夕刻開催された、「名桜ナースの集い」にも参加しました。1期から3期卒業生、教職員総勢約70人が集い、久しぶりの再会に会場は笑顔であふれていました。卒業生に近況、やりがい、本学での学びが活かされていること、後進へのメッセージを伺いました。


1期卒業生(平成22年度卒)

照屋 光希さん 伊江村役場保健師

 伊江村では、母子保健、精神保健、健康増進の3つをメインに取り組んでいます。自分が関わった方が、笑顔やすっきりとした表情をとり戻していく姿を見るとやりがいを感じます。 保健師は、ケースに応じて看護師や学校側と関わることもありますが、金城祥教先生の教えである「気になったらレスポンス」を生かし、気になったことは物怖じせずに会議等で話すことができています。 後輩へ:先生方に愛されて名桜大学を卒業して、今、楽しく元気に仕事ができています。4年間、一生懸命、泣きながらも楽しくがんばってほしいと願っています。


屋宜 小百合さん 豊見城中央病院看護師

 新生児から100歳以上まで広く患者さんを看ています。治療・回復して帰っていった方から感謝の言葉をいただくときや、看取りの際にその人らしく最期を迎えられたら、一緒に過ごせてよかったと、やりがいを感じます。 今、進みたい道が見つかり、栄養と摂食嚥下の分野の学会や勉強会に参加し、自己啓発、自分の成長につなげているところです。 名桜大学では大切な仲間と出会い、夢に向かって共に励みました。それが今でも私の糧となっています。 後輩へ:誰かのために何かをしたいという看護職共通の思いは必ず叶いますので、そのために必要な教養を学生の間に一杯培ってほしいと思います。


2期卒業生(平成23年度卒)

金城 一平さん 筑波大学附属病院看護師

 現在、手術室勤務で2年が経ちます。新たに心臓外科の手術にも入り始めて、少しずつステップアップしているのを実感しているところです。 名桜大学が力を入れていた教養教育の中でも、教養演習で実践したことは、皆で話し合って、問題点を自ら調べて解決していったこと。その中で培われたコミットメント力は、気になったことを積極的にドクターや先輩に聞く等、職場でも活かしています。 後輩へ:勉強ももちろん大切ですが、ボランティア活動や遊びの中でも何かしら仕事で役に立つこともあります。大学生活を楽しみながら、勉強にも打ち込んでほしいと思います。


溝口 広記さん 神戸大学医学部附属病院看護師

 今月から病棟が変わり、初めて看る疾患も多く多忙ですが、スキルアップに向けてがんばっています。今は「まず挑戦」。研修や学会等の声が掛かったら積極的に参加しています。 環境が変わったとき、思いあぐねることがありましが、そんなときこそ初心に戻り、気になったことはどんどんレスポンスしています。それを看護に活かせるようにしていきたい。 後輩へ:病院では、自ら参画しないと得られることが何も生まれてきませんし、参画することで様々なことが勉強できます。今皆さんがやっていることは絶対力になりますので、しんどいこともあるかもしれませんが、がんばってください。
 

3期卒業生(平成24年度卒)

金城 安奈さん 琉球大学医学部附属病院看護師

 就職して、人間関係・上下関係に悩んだ時期もありましたが、愛のむちをくれる優しい先輩に恵まれ、乗り越えることができました。 大学では、教養演習で看護以外の知識や考え方、人間関係づくりを学ぶことができ、クリティカルシンキングが培われ、また「レスポンスすること」をモットーに、患者さんのことを思い、ドクターに対して伝えるべきことは伝えることができています。
後輩へ:名桜大学看護学科の強みは先生方のバックアップ、サポート体制が整っていること。一度オープンキャンパスで先生方の優しさ、厳しさに触れてから進路を決めてください。


沖 めぐみさん 沖縄県立北部病院看護師

 毎日のハードワークと家庭との両立で悩むこともあるのですが、患者さんからの感謝の言葉や、回復して退院していく姿を見ていると嬉しく感じます。今日皆と再会し、悩みを話し合える仲間がいることはとても心強いと思いました。 私は社会人入学のため、在学中は一回り年齢が違う学友と過ごしました。先輩ナースや上司とも年齢関係なく自分の意見が言えるのは、学生時代の経験が活かされているからだと思います。
後輩へ: 3年、5年、10年後、そのとき自分を振り返ったときに、自分の成長が実感できる日がくるでしょう。今は辛いけどもちょっとがんばってみようという姿勢でがんばってほしいです。
 

                                    
ステージで伊江島での生活を報告する照屋さん              学友との久しぶりの再会で始終笑顔の屋宜さん

 

2期生同士近況報告し合い談笑する溝口さん(左)と金城さん(右)       名桜ナースは一生の仲間。先輩から元気をもらう金城さん

 
恩師・学友と再会し思い出話に花を咲かせる沖さん(右端)