公立大学法人名桜大学

 

台湾における日本研究―「日本研究年会」参加記―


平成24年11月17日(土)から18日(日)の2日間にかけて、日本研究年会「転換点における日本研究―新課題と新たなパラダイム」国際学術シンポジウムが台湾南部・高雄市の国立中山大学を会場に開催された。本会議は当代(現代)日本研究学会と国立中山大学の主催により開催されたもので、今回が第3回目となる。

 2日間におよんだ大会では午前・午後を通じて18のセッションが設けられ、多岐にわたる研究の成果が発表された。筆者は18日午前のセッションにおいて戦後初期台湾と日本の植民地教育遺産に関する報告を行った。日本からは、他にも馬場公彦氏(岩波書店)が日本メディアのなかの台湾イメージについて発表するなど、対外的にも広く開かれた大会であった。

 

 開会式では、台湾は世界でも日本語学習者の比率が最も高い地域であるが、語学の教学だけにとどまらず、日本社会を対象とした研究を一層促進し、相互理解に資するべきことが主催側から述べられた。事実、過去の政治的経緯もあり、台湾の大学における日本に関する課程は日本語教育に偏重し、地域研究としての日本研究、とりわけ社会科学方面での研究が軽視されてきた。しかし、馬英九総統は2009年を日台の「特別パートナーシップ促進年」として相互理解を促進するための取り組みを実施、日本側の窓口である交流協会も台湾における日本研究を支援してきた。近年では、2009年の政治大学現代日本研究センター設立を皮切りに、台湾師範大学、中興大学、中山大学といった国立大学や、淡江大学、輔仁大学などの私立大学でも日本研究センターが相次いで誕生し、組織的な日本研究の基盤整備が進められてきている。

 

 このような日本研究促進化の流れのなかで2010年から開催されてきた日本研究年会であるが、今回特に筆者の目をひいたのは、台湾の大学院で学ぶ日本人発表者であった。なかには本県出身の女子学生もおり、彼女は沖縄国際大学在学中に交換留学生として台中・東海大学で学び、卒業後、再び台湾に渡り同大学大学院に進学したとのことであった。日台の若い研究者が互いに切磋琢磨する姿を見て、台湾における日本研究の組織化が今後の日台関係を担う人材育成を大きく後押しすることを確信させられたとともに、台湾の大学院で学ぶ本県出身の彼女のように、本学でも未来の日台/沖台関係を担う人材がこれから一人でも多く巣立ってほしい、そのような一抹の感慨をも覚えた大会であった。 

 

国際学群 国際文化教育研究学系 講師 菅野 敦志

セッション参加者による質疑応答(左から陳永峰氏、ソン・ソクウォン氏、筆者、李文環氏)