公立大学法人名桜大学

 

大学の世界展開力強化事業 カンボジア・スタディプログラムに参加して

大学の世界展開力強化事業

 

カンボジア・スタディプログラムに参加して

 

名桜大学大学院国際文化研究科言語文化教育研究領域
城間 元喜

 

 平成27年9月13日(日)から22日(火)まで、「アジア平和と人間の安全保障コンソーシアム」による「平和と人間の安全保障」利益促進に貢献する次世代人材育成事業の一環としてカンボジアの首都プノンペンで行われた、プノンペン短期集中プログラムに参加しました。

 このプログラムは平和、人間の安全保障、貧困削減が主なトピックテーマで、カンボジアの開発の現状や平和構築についての講義のほか、トゥール・スレン虐殺博物館へのフィールドトリップなどが盛り込まれていました。

 プログラムの中でも特に印象深かったのはトゥール・スレン虐殺博物館を訪れたことです。ここは40年ほど前にカンボジアでの内戦の際にポル・ポト政権が共産主義国建立を目指す際、それへの反乱を恐れて知識階級の人々を中心とした大虐殺が行われた収容所です。全体で約2万人が収容され、生き延びることができたのはわずか8人と言われ、収容者達は「何もせず、静かに座って命令を待て。何も命令がなければ静かにしていろ。何か命令を受けたら、何も言わずにすぐにやれ」、「規則が守れなければ何度でも何度でも電流を与える」というような非常に厳しい規則のもとに置かれていました。博物館の中では頭蓋骨、拷問、虐殺に使用されたベッド、独房、収容者達の写真、衣服等を見ることができます。

 

トゥール・スレン虐殺博物館の入り口

博物館内の中心にある平和を願う記念碑

 

 博物館はビルディングA、B、C、D、と4つに分かれおり、ビルディングBでは最近の博物館の活動を紹介する展示を見ることができます。その中で、JICAによって支援された「沖縄・カンボジア『平和文化』創造の博物館づくり協力」プロジェクトについて紹介した展示を見ることができました。

 このプロジェクトはカンボジアと沖縄が、争いで人々が犠牲になった過去の歴史を分かち合い、さらなる平和を発信していくためのより良い博物館運営を目指し、お互いに協力していくことを目的としたものです。沖縄県平和祈念資料館と沖縄県立博物館・美術館においてカンボジアのトゥール・スレン虐殺博物館とカンボジア国立博物館の職員への技術移転、人材育成が6年にわたり行われました。

 私自身このようなプログラムがあったことは知らなかったため、カンボジアと沖縄につながりがあったことに驚き、沖縄がカンボジアへ平和の促進という面で協力していることをとても誇りに思いました。さらに、この経験は平和について考える機会を与えてくれるものとなりました。

 今回のプログラムの中で、一口に平和と言っても様々な捉え方があるということを学びました。単に紛争等が無い状態が平和であるという捉え方もあれば、一方で差別、抑圧、貧困などの構造的暴力が無い状態が平和であるという捉え方もあります。

 さらにカンボジアの教育についても学びました。カンボジアでは教育が未だ発展途上であり、また過去の内戦についても語り継いでいくということについては、内戦後まだ日が浅いためか依然として慎重な態度であるため、子どもたちへの平和教育があまり行われていないという現状を知りました。沖縄では沖縄戦の歴史を基に小学校、中学校を中心に平和教育が盛んに行われています。私自身沖縄の出身であるため、カンボジアのように平和教育があまり行われていない状況と比較して、私を含め戦後の沖縄の子どもたちは平和教育を盛んに受けてきたということを知りました。しかし、自身が受けてきた平和教育を振り返ってみると、戦争は二度と起こしてはならないものであり、命はとても大切で、今沖縄が平和であることに感謝していかなければならないというような感想を持つに留まっていたように感じ、平和とは何か、私たちがより良い平和な社会に向けて何ができるかというようなことを考えるものではなかったように感じます。

 私は大学院で教育を専門に学んでおり、プログラムのテーマが教育であったわけではないため、今回のプログラムに自らの専門分野の研究のために参加するというような心持ちで臨んだわけではありませんでした。しかし、プログラムを通して平和について学び、構造的暴力の有無といった観点から見て、生まれ育ってきた沖縄が本当に平和であるのかということを深く考えるようになりました。そこから、ある種形骸化してしまっているようにも思われる沖縄の平和教育についての問題意識を持つきっかけとなる経験となり、参加させていただき非常に貴重な学びとなったと感じます。この問題意識を、今後修士論文執筆に向け研究を進めていくうえで生かしてきたいと思います。

 沖縄の平和、平和教育について、沖縄にいるだけでは自ら問題意識を持つことはなかったでしょう。今回の経験は“外を見て内を知る”経験となりました。

 

プログラム終了時の記念撮影

プログラムを終えた認定証

大阪大学、広島大学、カンボジアの学生と一緒にカンボジアのロイヤルパレスを訪れました