公立大学法人名桜大学

 

照屋ゼミ3年次 フィールドワーク報告 -国頭村辺土名ハーリー行事-

 
 

 国際学群国際文化専攻照屋ゼミでは、「汝自身の足元を掘れ、そこに甘き泉あり」をモットーに活動しています。特に沖縄の地域文化については文献調査(デスクワーク)に加え、現地調査(フィールドワーク)をしっかり行うことで、より深い学びが得られると考え、実践しています。
 新3年次ゼミ生にとっては初めてのフィールドワークを平成27年6月14日(日)に開催された国頭村辺土名のハーリー行事にて実施しました。5月中に事前学習として市町村字誌等を読み込むなどの文献調査や、辺土名公民館へ電話にてインタビュー調査を行っていたため、当日は比較的スムーズにフィールドへ入り、支障なく調査を進めることができました。
 事前学習によると、現在ハーリー行事として巷間に知られているこの行事が、本来はアブシバレー行事を行っていたということでした。アブシバレーとは琉球国時代から行われている農耕に関する行事で、アブシ(畦)のハレー(払い)の意です。県内の他地域でも広くみられる行事で、多くの場合、農耕に支障をきたす害虫を海に流し、海の彼方にあると考えられているニライカナイ(海上他界)へ送り、害虫駆除を願う行事です。
  アブシバレー行事は海で行われるので、その行事に付随させる形でハーリーが取り入れられることは多くの地域で見られ、そのほとんどで本来の行事よりもハーリーがメインのようになっています。
  当日は、公民館前の広場からハーリー舟を押しながら辺土名漁港まで練り歩く、いわゆるジーバーリー(地爬龍船)が行われていました。ジーバーリーは車輪付きの舟型の模型で行われ、実際の競漕用のハーリー舟とは別に用意されていました。ジーバーリー用の舟型模型は4隻用意され、それぞれ「東」「西」「南」「北」の幟が立てられていたことから、集落の区分が4つであることがうかがえました。これは戦前の区分とは異なるもので、集落の区分の変遷を示唆しています。
  ジーバーリーは集落内のメインストリートを通って進み、辺土名漁港入口には「第25回辺土名ハーリー大会」の横断幕が掲げられていました。辺土名において、琉球国時代から行われていたアブシバレー行事に、サブイベントとしてハーリーが取り入れられたのが25年前であったこと、そして横断幕にアブシバレーの文字がないことから、サブイベントであったハーリーが、現在メインイベントとして認識されていることが分かります。
  会場である漁港の浜では観客席用テントと寄附受付用テントが張られました。寄附の受付はこの大会で行われるハーリー競漕の商品等にあてられますが、単なる寄附以外に「立身(初うり)」という寄附の種類がありました。インタビューしたところ、集落内出身の子供の立身出世を願って、その親御さんが寄附をする趣旨のものであるとの説明がありました。この「立身」の寄附についてはハーリー大会への寄附として行われていますが、本来はアブシバレー行事の一環として行われていた可能性がうかがえました。
 ハーリー競漕大会自体は地元の青年会や老人会、婦人会に加え、外部からの参加も許されており、幸運にも、照屋ゼミの学生も飛び入りで参加させていただきました。ちなみに老人会と婦人会に負け、ハーリー競漕には力だけでなく、技術と経験が必要であるという貴重な学びを得たようでした(笑)。
  文献を読み込むことはとても重要ですが、フィールドへ出て、実際に見聞することでも、文献には書いていなかった多くの学びを得ることができ、やはりデスクワークとフィールドワークは車の両輪のように両方必須であることを再認識できた機会になったと思います。そして学生には、眼前にある文化事象は、時間の流れの中で変遷していく事象の一瞬をみているのだということをぜひ改めて考えることを期待します。

総評:照屋理(国際学群 国際文化教育研究学系 上級准教授)


学生の声

 私たち照屋ゼミは、国頭村辺土名のハーリーを見に行きました。事前学習をして行き、この行事の意味などを理解できるよう努力しました。現地では、区長さんのお話や祈願、ハーリーの様子などを見聞することで、事前学習とは違った学びがありました。
 照屋先生の提案で、急遽ゼミ生もハーリー大会に参加しました。3組中3位という残念な結果でしたが、沖縄の文化に触れ合い仲間と絆を深めることができ、参加できて良かったです。

伊波 ひかる(沖縄県立読谷高校出身)

 

 フィールドワークをするにあたり、現地について調べ、行事の意味を知ることで年中行事のあり方、昔の人の考え方について学ぶことができました。昔は個々で行われていた行事が、現在共同で行われることで、昔からある行事を無くさず形を変えながら継承されていると感じました。また実際に参加して地域の人との触れ合い、ゼミの仲間との協力など様々な交流を楽しむことができました。行事への参加は急でしたが、参加を決定した先生に感謝したいと思います。

 座間味 優稀(沖縄県立読谷高校出身)

 

 沖縄県外出身の私には、ハーリーがどのような行事で、どのような歴史があるか知りませんでした。しかし、ゼミでの事前学習において、ハーリーのことを含め沖縄と県外の文化の違いや沖縄の文化について深く学ぶことができました。ゼミでは、沖縄の史跡や伝統行事などフィールドワークで行き学ぶ機会が多くあるので、毎回参加し、沖縄の文化などについて深く学びたいです。

松尾 一成(大分県立森高校出身)

 

 アブシバレー、辺土名ハーリーの見学で一番印象深かったのは、公民館で安全祈願などをした後に、ハーリー会場まで向かう際の道ジュネーでした。子供たちがジーバーリーと呼ばれる船に乗り区内を回っている時、たくさんの辺土名区民が道で見守っており、区民全体がこの行事を大事にしているのが見ていて伝わってきました。
 沖縄県の各地域では、そこにしかない行事があり、今回は辺土名でしたが、これからもいろいろな行事を学び、体験していきたいです。

山本 眞子(沖縄県・興南高校出身)

 

 事前学習では、アブシバレーはだれが先頭に立ち行事を執り行うのか、なぜハーリー競争の前にミチジュネーを行うのか、道ジュネーの意味とは何かなど、行事について深く掘り下げることができました。
 地域の部落で行われているこの行事は、畑の害虫駆除・今後の豊作祈願など昔からの意味合いを持って行っていること、また祈願の後にハーリー大会を行う地域や人を集めて宴会を開く地域など、部落によってそれぞれアブシバレーの色があることを知りました。
 私は、地域によって行事に違いがあることに興味を持ち、もっと知りたいと思ったので、いろいろな人から話を聞くなどして調べてみたいと思います。

仲地 桃子(沖縄県立那覇西高校出身)

 

 今回、世神の宮での安全祈願から道ジュネーの見学、ハーリー大会にまで実際に参加をして、貴重な経験をすることができました。辺土名区民の方々は、私たちゼミ生を快く迎え入れてくださりました。ハーリーの行事は、外部の人も気軽に参加できるようになっていて、こういった行事が私の地元にはないので羨ましく思いました。
 実際にハーリーを漕いでみて、途中から辛くて腕も痛かったけど、それ以上に皆で協力してゴールできたことがすごく嬉しかったです。ハーリー大会が終わった後に、区民の方々から「来年も待っているね」など温かい声掛けをしていただき、辺土名のハーリー大会に参加できて本当に良かったと思いました。

髙木 彩花(愛知県立杏和高校出身)

 

 辺土名公民館に着くと小さな子どもから大人まで、たくさんの人が集まっていて、地域全体で行事を行っていると感じることができました。私はこの大会は地域の人だけで行うと思っていましたが、区外からの参加チームもおり、また私たち照屋ゼミ生も飛び入りで参加することになりました。ハーリーが転覆しないかと不安もありましたが、皆で声を掛け合いながらゴールすることができました。見るだけでなく、実際に参加し、体験することができてとても嬉しかったです。沖縄県内で行われている大きな大会に負けないくらい、地域で行われている大会も温かくて楽しくて、また参加したいと思いました。

元田 真琴(鹿児島県立奄美高校出身)

 

 辺士名のハーリーに参加し多くのことを学びました。ハーリーは沖縄では各地で行われており、メジャーな行事ですが、きちんと見るのは初めてでしたので、とても良い経験になりました。事前学習でハーリーの由来や意味などを勉強し、実際に道ジュネーやハーリーを間近で見ると、新しい発見や疑問が見つかって面白かったです。
 また、地元の方や他の参加者ともお話しすることができ、打ち解けられたので良かったです。辺士名区民にとって、この行事は、区民同士のコミュニケーションの場や、区外からの人集めの場となる貴重な行事になっていると思いました。

玉那覇 麻子(沖縄県立知念高校出身)

 

 ウチナーンチュの私は、子供の頃から、ハーリーを見たり、実際に参加した経験もありました。沖縄には年間を通じ多くの行事がありますが、地元の人でもその行事のことをちゃんと説明できるという人は少ないのではないかと思います。私も、今回、ゼミを通して初めてハーリーの起源や意義を知りました。自分が生まれ育った地域に伝わるものを、もっとちゃんと知っていきたいと今回思いました。

比嘉 めぐみ(沖縄県立名護高校出身)

 

 初めは、見学ということでしたので、区民や区外から参加するチームの方々にお話を聞かせていただきました。しかし、途中アナウンスで大会に参加するチームを読み上げている際に、名桜大学の名が呼ばれ、そこで大会に出場することを知り、お話をきいているどころではなくなりました。対戦相手は、老人会と婦人会でしたので「勝てるかもしれない」と思いましたが、結果は惨敗でした。ハーリーは若さだけでは勝てないということが実際に体験して分かりました。

銘苅 公洋(沖縄県立与勝高校出身)