公立大学法人名桜大学

 

第10回人間健康学部公開シンポジウムを開催しました

第10回人間健康学部公開シンポジウム
健康・長寿立県の復活を目指して −名桜大学から新提案−

 

 平成27年3月14日(土)に、「健康・長寿立県の復活を目指して−名桜大学から新提案−」をテーマに、第10回人間健康学部公開シンポジウムが、本学学生会館SAKURAUMで開催されました。
 世界的な健康・長寿地域とされていた沖縄県ですが、現在ではその健康・長寿に陰りが見え始め、肥満をはじめ心疾患や脳血管疾患など多くの深刻な健康問題を抱える県となっています。また、平均寿命においても男女ともに長年トップクラスであったにも関わらず、2000年頃から大きく順位を下げ、今や男性は30位まで転落し、女性も1975年以来続いていた1位の座から3位へと後退しています。これをうけて沖縄県は、「健康・長寿おきなわ」の復活に向けて、2040年に平均寿命で男女共に全国1位に返り咲く長期的な目標を掲げています。そこで、本シンポジウムは「健康・長寿おきなわ」の復活に向けて本学が提案するプロジェクトを紹介し、沖縄県の健康づくりを支援する方略について議論を深めることを目的として開催いたしました。
 シンポジウムは基調講演とパネルディスカッションの2部構成とし、1部の基調講演は、筑波大学大学院人間総合研究科教授の久野譜也氏による「自然と歩かされてしまう街を目指して−Smart Wellness Cityの創造−」と題する講演と、有限会社波恵ダンス代表取締役の石山波恵氏による事例紹介をかねた「震災後の福島の現状と健康支援活動について」と題する講演が開催されました。2部のパネルディスカッションでは、最初に沖縄県の現状として、筆者による「健康・長寿県から不健康県となった沖縄の現状」に関する報告が行なわれ、続いて名桜型の健康支援の提案としてスポーツ健康学科助教の東恩納玲代氏による「出前ミニオープンキャンパス複合型プログラム」とスポーツ健康学科4年生の濱口紗樹氏による「公民館を毎日の運動の場に!3Dプログラムを用いた新しい取り組み紹介」と題して、それぞれ健康・長寿立県の復活を目指しての新しい取り組みについての提案がなされました。


基調講演
 久野譜也氏は、歩いて暮らし「健幸」なれる街、「スマートウエルネスシティ」を提唱され、健康寿命の延伸のために自然と歩かされてしまう街を目指す必要性について講演されました。我が国には、健康のために運動していない人や健康に感心がない人々が全体の7割もいて、総合政策によりこの無関心層に対してアプローチを行い、健康に関する感心を高める必要性と、その無関心層を自然と歩かせることで健康にしていく「スマートウエルネスシティ」の実現こそが重要であると述べられていました。
 石山波恵氏は、事例紹介とワークも含めた内容で、東日本大震災から4年がたった福島の現状と健康支援活動について講演されました。浪江町、大熊町などの帰還困難区域から移住し、いまだに仮設住宅で暮らす高齢者は外に出る機会も少なくなり、運動の機会が奪われている現状があり、仮設住宅や老人ホームを回って、高齢者に運動教室や健康講演会などを行い身体を動かす機会を提供している事例について紹介をしていただきました。また、「大切なのは笑うことだ!笑は人を健康にする」と述べられ、会場の参加者を爆笑の渦へと引き込んでいく内容が印象的でした。

パネルディスカッション
 パネルディスカッションでは、最初に筆者が沖縄県の健康に関する話題提供を行い、加速度的に失われていく沖縄県の現状に対し、自治体も住民も本気で考えないといけない状況にあると問題提起しました。その提起を受け、名桜大学は2012年に「健康・長寿サポートセンター」を設立し、各自治体と連携して名桜型のユニークな健康支援活動を展開しています。2番目の登壇者の東恩納玲代氏は、大宜味村で行なった出前ミニオープンキャンパス複合型プログラムについての事例を紹介し、運動や講話、体力測定を組み合わせた取り組みについての説明を行ないました。最後の登壇者となった濱口紗樹氏は、大学公認学生団体ヘルスサポート(通称ヘルサポ)で地域の健康・運動指導に携わっています。昨年6月から伊平屋村で実施ししている取り組みは、「厚生労働省スマートライフプロジェクトの第3回健康寿命を伸ばそうアワード」において厚生労働省健康局長優良賞を受賞しました。今回はその取り組みを紹介しながら、地域のソーシャルキャピタルの醸成に向け、自治体、地域住民に名桜大学が加わり、参画型のネットワークを機能させることが必要であると!最後に提言を行ないパネルディスカッションが終了いたしました。
 終わりに、名桜大学の取り組みが沖縄県の健康・長寿立県の復活のために寄与できることを祈念し、第10回人間健康学部公開シンポジウムの報告といたします。

総評:高瀬 幸一(スポーツ健康学科 教授)

 

 
久野譜也氏と石山波恵氏による講演の様子   
 
パネルディスカッション登壇者(左から高瀬幸一氏、東恩納玲代氏、濱口紗樹氏)