公立大学法人名桜大学

 

平成25年度 人間健康学部 看護学科 [ 臨地実習報告 2]


基礎看護実習Ⅱ

   基礎看護実習Ⅱは、2年次後学期に、北部地域の5施設(県立北部病院・北部地区医師会病院・北部地区医師会附属病院・もとぶ野毛病院・北山病院)において、1人の患者を受け持ち、日常生活の援助を行う実習です。学生は、1グループ6~7人の14グループに分かれ、2週間の臨地実習を通して、看護の実際を学んでいきます。1年次の基礎看護実習Ⅰで、週に1回、半日間のインターバル実習を体験した学生が、直接、患者と向き合い、援助的関係を築いていく体験は初めてです。実習前は、期待よりも不安が強く、ストレスを訴える学生も少なくありません。しかし、既習の知識や技術を総動員して患者のケアを実践していく過程で、学生は、目の前で繰り広げられる現象を、患者の立場にたって解釈していくことを学んでいきます。緊張しながらも、誠実に患者と向き合うことで返される「ありがとう」の一言に励まされ、看護を学んでいる自分自身と対話し、看護の専門性と責任感に目覚める貴重な体験となっています。

総評:大城 凌子(看護学科 上級准教授)


誠意を持って関われば必ず伝わる

2年次 中村 美月(沖縄県立コザ高校出身)

  私は、基礎看護実習Ⅱでパーキンソン病を患っている男性の患者さんを受け持ちました。実習を振り返ると、患者さんの気持ちを考え、誠意を持って関われば必ず看護者の思いが伝わるということを学びました。実習はじめは、受け持ち患者さんと意思の疎通がうまくできず不安でいっぱいでした。しかし、実習を進めていく中で、受け持ち患者さんの可能性を広げるために必要な看護がしたいという思いになっていきました。私は、発語も少なくほぼ寝たきりの状態であった患者さんに対し、言葉掛けを多くし、日中はできる限り離床を促し、さらに自分でできることは時間が掛かっても自分で行わせるといったことを実践しました。実習終了前には声掛けに対する反応もよく、日常生活動作を自ら行おうとするようになりました。学生だからこそ深く関わる時間も多く、患者さんが回復していく過程を側で見ることができました。私は、患者さんと一緒に回復過程を歩んでいくことで達成感や嬉しさが込み上げてきました。実習の最後に患者さんから言われた「ありがとう」の一言は今でも忘れられません。普段の座学では学ぶことのできない現場での貴重な体験が、これからの看護観につながっていくと思います。しかし思いだけではなく、知識、技術を更に磨き、患者さんの気持ちに寄り添うことのできるよう、これからの実習にも臨んでいきたいと思います。

※年次は平成25年度時

                  
病棟主催のヒラヤーチー大会           反応が乏しかったA氏が実習最終日     実習を終え達成感に満ち溢れた学生と教員
                                                    「ありがとう」と発した場面


基礎看護実習Ⅰ

  1年生は前期に開講される「看護概論」において‘看護とは何か’について学んだ後、後期に開講される「基礎看護技術Ⅰ」と並行して「基礎看護実習Ⅰ」に参加します。
 大方の学生は、初めて出会った対象者とどうコミュニケーションを取ればよいのか分からず、2人の間に沈黙が続き苦しかったという体験をします。この苦しかった体験から脱却したいという思いから、指導者に相談し助言を得てコミュニケーションの取り方について考え実習に臨むようになります。学生は自己の体験から対象の気持ちにも目が向けられ実習を通して ‘看護とは何か’について再考し学びを深めます。このように臨床現場での体験は学内では学べない貴重なものばかりです。
ご協力いただいた入所者の皆様や看護師の皆様、介護士の皆様に心からお礼を申し上げます。

総評:名城一枝(看護学科 准教授)


考えていたのに、何故できなかった

1年次 伊志嶺 香奈(沖縄県・興南高校出身)

  私は実習先で男性A氏を担当しました。最初、A氏は話し掛けてもそっけない対応でしたが、根気よく声掛けしていると、バイタル測定時にはたくさんお話しをしてくれるようになりました。私はそれがとても嬉しかったのですが、測定中もA氏は話しかけてくるため、両方を同時に行う事は難しく、どうしてよいのか戸惑ってしまいました。その結果、測定に時間が掛かり、値の正確性に不安が残ってしまいました。A氏にも中途半端に相槌をうち、失礼な態度をとってしまったことがショックでもあり、情けなくもありました。
 この体験を振り返った時、やっと心を開いてくれたA氏にきちんと向き合おうと考えていたにも拘わらず、訪問の目的である血圧測定を優先した自分に気付きました。
 実習では困ったことが起こることもあるけれど、次につなげるために、きちんと振り返りをして、自分の中で問題解決していこうと思います。

※年次は平成25年度時


高齢者看護実習 『そのひとらしさ』の尊重

 加齢に伴い衰えていく機能に目を向けることは簡単ですが、高齢者看護実習では、高齢者の強みに目を向け、引き出しそれを看護に生かすことを目標にしています。高齢者看護実習施設は療養型病院(野毛病院、勝山病院、北山病院)と介護老人保健施設(あけみおの里、和光園、もとぶふくぎの里)で、2週間の実習を行いました。「家に帰ります」とソワソワしたり、食事したことを忘れ何度も同じことを繰り返し訴える認知症の方を担当し、対応に戸惑い、逃げ出したい衝動にかられながらも症状・行動の意味を必死に考え、強みに着目し、認知症の方の世界に寄り添い、共感しケアに生かしていました。また、指導者・メンバーと協働しながら自分自身と深く向き合い、その人の生きてきた過程を尊重することの重要性を学び、自身の高齢者看護観を見出し、学び多き実習となっていました。これからも『その人らしさ』を尊重し、ケアに生かせる看護師になってほしいと思います!

総評:永田 美和子(看護学科 上級准教授)


寄り添い傾聴すること

3年次 玉城 衣理(沖縄県立糸満高校出身)

 高齢者看護実習で心に残っている出来事があります。患者さんは、老年うつ病で入所しており、孤独や不安を抱え、自殺企図や意欲低下のある方でした。2週間の実習の中で、一対一で関わり、寄り添いながら本人の気持ちを傾聴して対応していくと、少しずつ生きる希望を見出し、楽しみや喜び、笑顔の時間が増えるようになりました。そして、実習最終日に「第一号の友達ができたから嬉しかったよ。あなたがいてくれたから、辛い時も頑張れました」と話してくれました。高齢者の多くは、孤独や人生への不安、自身の健康への自信喪失や配偶者の死へのショック等を抱えており、精神的アプローチが必要となることが多くあります。必ずしも身体的病気が治れば健康と言えないのが高齢者の特徴だと私は考えます。高齢者看護実習では、高齢者にとって必要な看護とは何か、患者さんの強みとは何か、自分に何ができるのかを深く考える実習でもあるため、自身の看護観を磨いていける実習でした!

 
入所者の余暇時間を共に過ごす                   アクティビティ活動の成果

※年次は平成25年度時


在宅ケア実習

  在宅ケア実習は、介護保険サービスにおける訪問系、通所系、在宅系や診療等の多様な施設で実施し、一人の学生が北部地域の施設で2日ずつ2施設をまわります。そして最終日にはそれぞれの施設を紹介するような情報交換会を持ち、施設間連携などの学びを共有します。
 北部は山間僻地の広大な地域で、自然に恵まれているとはいえ、高齢化率や独居率の高さに追いついていけない医療・福祉・介護サービスの厳しい現状があります。本学看護学科では1年次より「教養演習」、「ケアリング文化実習」などのフィールドワークを通して地域の特性を捉えながら住民とふれあってきていますが、特にこの3年次在宅ケア実習では、高齢者がこの地域の中でどう生活してきたのかを知り、どうケアしたら今後もその人らしく生きていくことができるのかを今までの学びも統合しながら考えられる貴重な実践の機会となっています。

総評:八木澤 良子(看護学科 助教)


その人らしい生活を支えるために大切なこと

3年次 平良 璃奈(沖縄県立辺土名高校出身)

  私は、グループホームと居宅介護支援事業所で実習を行いました。 「グループホームかるすと」は、とてもアットホームな雰囲気で入居者の方もゆったりとした時間を過ごされていました。ここでの関わりを通して、認知症をマイナスイメージでとらえるのではなく、その人が人生の中で培ってきたものや今持っている強みを生かすというパーソンフッドケアの重要性を実感することができました。
 居宅介護支援事業所北斗園では、介護支援専門員の方の家庭訪問に同伴しながら実習を行っていきました。実際に老老介護と独居高齢者の現状を目の当たりにして、在宅での生活を支える難しさも感じられましたが、自宅で暮らしたいと訴える高齢者の言葉の裏にある思いを引き出し、地域の力を生かしてケアにつなげていくことがとても大切なことであると学ぶことができました。

※年次は平成25年度時


小児看護実習

 小児看護実習は保育園実習、病院実習それぞれ1週間ずつ、計2週間行います。病院実習では、30分間のプレイタイムの時間を設け学生が入院患児に遊びを提供しています。学生は、入院患児の発達段階や病状を考慮した遊びを主体的に考え、臨床指導者や病棟保育士からアドバイスをもらいながらプレイタイムを実施しています。学生は、プレイタイムを実施するに当たり、子どもたちは楽しんでくれるだろうかという不安な気持ちを持ちながら、笑顔で子どもたちに遊びを提供していきます。そして、少しずつ学生と子どもたちの緊張が解れていき、子どもたちと作るプレイタイムの楽しさを実感していました。また、集団遊びは子どもの成長発達に欠くことのできないものであり、入院生活を楽しく過ごすためには大切な時間であることを学んでいました。さらに、プレイタイムを成功させるためには、看護師や病棟保育士との連携や協働の重要性も実感していました。これからも、小児看護実習を通して多くのことを経験できるよう実習環境を整えていきたいと思います。

総評:松下 聖子(看護学科 上級准教授)


子どもの成長発達を理解して関わる

3年次 金城 可奈子(沖縄県立那覇西高校出身)

 小児看護実習は、保育園1週間と小児病棟1週間の実習で、多くのことを学ぶことができました。保育園実習では、子どもたちの生活や成長発達を理解し、発達段階に合わせた関わりが重要であることを学びました。また、保育士や両親が抱えている悩みを知り、育児の難しさを学び、改めて小児看護に興味を持つことができました。
 病院実習では、病気の子どもの看護を実践し、受け持ちの子どもを通して病気を理解し、成人との違いや小児看護の特徴を学ぶことができました。また、患児だけでなく、夜間も毎日付き添っている両親や家で待っているきょうだいの生活も考えた看護が重要だと感じました。
  小児期は人間の成長期の中でも一番大切な時期であり、生涯にわたる人間形成の基礎が培われる重要な時期であるため、子どもの成長発達について常に関心を持つことが必要だと感じました。病気を抱えている子どもに対しては、さらにその子の病態やADL、発達段階を配慮して看護していく必要があり、知識と技術が重要だということを学ぶことができた実習になりました。

※年次は平成25年度時

 


精神看護実習

  精神看護実習は、金武町の独立行政法人国立病院機構琉球病院と本部町の博寿会もとぶ記念病院の2施設で実施しています。この実習では、精神的健康問題を抱えながら入院生活を送っておられる患者さんを受け持たせていただき、グループの学生全員で受け持ち患者さんみんなをみていく、チームで取り組むスタイルをとります。学生は初めての精神科病棟に戸惑うことの連続ですが、悩みや疑問、気づきを自由に話し合うカンファレンスが日々深まるごとに、精神科看護で大切なことを明確化し、自分なりの答えを見つけます。さらに、既習の知識や介入技術を生かし、協力しあって実践することで看護者としての自分を確認しているようにも感じます。
 さまざまな思いを語ってくださる患者さんやご家族との出会い、学生が果敢に実践に取り組める環境を提供してくださるスタッフの皆さまに心から感謝いたしますとともに、これからも学生が協働しながらめいっぱい悩み、話し合い、楽しく手応えのある学習になるように、教員4人で力を合わせていきたいと思います。今年の実習も楽しみです♪

鈴木 啓子(看護学科 教授) 伊礼  優(看護学科 上級准教授)
鬼頭 和子(看護学科 助教) 平上久美子(総評執筆・看護学科 准教授)


患者さんの人生をイメージし、患者さんの世界を知り続ける大切さ

3年次 土肥 朝美(沖縄県立名護高校出身)
上間 亜衣(沖縄県立浦添商業高校出身)

  私たちが、琉球病院の2週間の実習で学んだことは、患者さんのこれまでの人生をイメージし、患者さんの世界を知るために距離感を大切にしながら関わっていくことの大切さでした。
 私(土肥)が受け持った患者さんは、統合失調症で対人緊張が強く、声の小さい人でした。1週目はどのように関わっていいのか分からず距離のとり方など試行錯誤を繰り返しました。2週目には私なりに患者さんと関係を築いていくことができ、患者さんの声も少し大きくなり、「(学生と話をしても)緊張しません」といろいろなお話をしてくれるようになったことがとても嬉しかったです。
 私(上間)が受け持った患者さんは、統合失調症で毎日体調に変化があり、幻聴がひどい時は人を拒絶することが多い方でした。カンファレンスの中で、学生同士で患者さんとの関わりについてのディスカッションをしながら、日々の介入方法を検討していく過程に精神看護実習の面白さを感じました。
 精神看護実習で学んだことを生かして、これからも患者さんのことを理解したいという思いを大切に看護を行っていきたいです。

     
「実習のまとめの会」でグループ発表を行いました           実習のまとめの会を終えて
(発表者・土肥)                            (2列目左から4人目が上間)
 

※年次は平成25年度時


母性看護実習

 母性看護実習は、妊娠・分娩・産褥・新生児期にある母子およびその家族に対して、適切な援助や生命誕生と親になる過程における看護職の役割を学ぶことを目的としています。
 平成25年度は、83人(そのうち13人は男子学生)が、ハートライフ病院、南部徳洲会病院、中頭病院、琉球大学附属病院で9日間の実習を終えました。実習内容は、主に産後のお母さんの経日的に変化する身体の回復状態の観察、母乳哺育の支援、新生児の観察、新生児の沐浴を実施しています。沐浴実施では、実習指導者より「上手に沐浴を入れてますよ」とのよい評価でした。学内での人形を用いての沐浴練習に比べ、実習では児の心地よさそうに「ホー」とした表情に癒され、学生の声掛け、手つきも優しく、丁寧になり、大切な命を実感する気持ちになるようです。特に、男子学生は児を沐浴する際、目がキラキラしています。母性看護実習では、生命誕生の場面、母子や家族との関わりなどの体験から、学生は母性(父性)を高めるよい機会となっています。

小西 清美(看護学科 教授) 金城 壽子(看護学科 上級准教授)
鶴巻 陽子(看護学科 助教) 鬼澤 宏美(看護学科 臨任助手) 


生命の誕生の素晴らしさ

3年次 仲原 麻歩(沖縄県立名護高校出身)

 母性看護実習では、琉球大学附属病院で2週間、1人の方の妊娠・分娩・産褥の経過を見ていくことができました。そこではハイリスク妊婦が多く、正常な状態から逸脱している方のケアを行うためには、正常な妊娠・分娩・産褥の経過を知っておくことが大切だと学びました。私の受け持ちの方は、全前置胎盤、癒着胎盤で妊娠期から入院をしていました。妊娠期はコミュニケーションやケアを通して実習時間の多くを患者さんと過ごしましたが、帝王切開術後、ICUから病棟に移り、疲労や疼痛がひどく会話ができない状態でした。術前後の患者さんの身体的変化が大きかったためとても驚いたと同時に、子どもを産むことは命がけだということを強く実感しました。母親が児を抱くことができたのが術後2日目で、きつそうな表情だった母親の子どもを見た時の嬉しそうな様子をみて生命の誕生の素晴らしさを感じることができました。


琉球大学附属病院でお世話になりました(2列目右が筆者)

※年次は平成25年度時

 


療養生活支援実習

  療養生活支援実習は、慢性疾患を有する患者および家族への看護を学ぶことを目的に、3週間の病棟実習を展開しています。学生は、急性期病院の内科系病棟および回復期病院において慢性疾患を有する患者を受持ち、看護過程を展開することを通して、個別性のある看護支援の在り方について知識・技術を学びます。実習病棟の管理者、臨床指導者ともに、看護実践および患者教育の視点で関わっていただき、ケースカンファレンスや病棟報告会では、学生個々の看護計画に助言をいただきます。学生は、個別性のあるパンフレットの作成やセルフケア確立に向けた支援を通して、慢性疾患におけるセルフケアの重要性と支援の難しさを学びます。実習最終日には、合同成果発表会を設け学生間で学びを報告し、討議を通して互いの学びを深めます。臨床実習での学びは、ご指導いただきました看護師、患者様・ご家族のご協力の賜です。ご協力いただいた皆様に心から感謝いたします。

総評:玉井 なおみ(看護学科 助教) 


退院後の生活を見据えた看護

3年次 古謝 桃香(沖縄県立具志川高校出身)
金城 久海(沖縄県立向陽高校出身)

  私たちは、療養生活支援実習で慢性期にある患者さんを受け持たせていただき、コミュニケーションやバイタルサインの測定、清潔援助等の実践から看護技術を学びました。患者さんによっては自覚症状を訴える方とそうではない方がおり、援助者側の私たちはそのことを理解して十分な観察を行い、患者の状態を把握する必要があると学びました。また、受持ち患者さんは、ご自身の治療についてあまり理解していないのではないかと感じたため、現在の治療について簡単なパンフレットを作成し、患者さんと読み合わせを行い確認しました。患者さんは熱心に見てくれて、「これは気を付けないといけないんだね」「分かりやすく作ってくれてありがとう」等の発言を聞くことができました。慢性期にある患者さんは自分の疾患とうまく付き合って生活していかなければならず、自身で健康面について意識していく必要があることを改めて感じ、現在の状態だけでなく、患者さんの退院後の生活を見据えて看護を行うことが必要であると学ぶことができました。

 
古謝 桃香                                      金城 久海

※年次は平成25年度時