公立大学法人名桜大学

 

H25年度 国際学群 国際文化教育研究学系 [ 現地実習アジアコース報告 ]

平成25年度 国際学群 国際文化教育研究学系 [ 現地実習報告 ]

アジア、日本、そして沖縄 ―「現地実習アジアコース」を終えて―

 今年度のアジアコースは、平成25年8月8日(木)~26日(月)の19日間にかけて台湾、韓国、タイ、シンガポール、香港の5カ国・地域をまわりました。参加学生数は23人でした。
 最初の台湾では、PCのOEM生産で著名なインベンテック(英業達)・グループへの企業訪問の他、徳川日本語学校を訪問し、日本語教師の先生方による講話及びネイティブ講師による中国語レッスンを受講しました。台北以外にも、高速鉄道で台南に赴き、孔子廟等の史蹟を見学しました。
 韓国では、大韓民国歴史博物館や戦争博物館等をまわり、朝鮮戦争を経て未だ南北分断による緊張関係の只中にある朝鮮半島から、東アジアの平和について考える機会を設けました。
 タイでは、山田均先生のご企画による本学卒業生との交流会の他、交流協定校であるサイアム大学の学生グループ主催によるスパンブリー県への交流ツアーがありました。交流担当者の高田知仁先生を始め、多くの先生方のご協力の下、素晴らしい交流の機会となったことにこの場を借りて感謝を申し上げます。
 シンガポールでは、東南アジアの多民族国家と経済発展について改めて考える機会となりました。国立博物館では、シンガポールの歴史と発展の経緯に関して、経済政策だけでなく、多民族の融合による国民統合に尽力してきたその民族政策についても学びました。
 最後の香港では、1997年の中国返還を経て、一国二制度の下で「特別行政区」としてますます発展を続ける香港の地から、陸路でお隣・広東省の深圳(シンセン)へと渡りました。パスポートを必要とする“ボーダー”を自身の足で跨いで越境することは、沖縄や日本では決して味わうことのできない経験でした。
 約3週間の実習を経て、実習生は飛躍を続けるアジアの現状―躍進する経済と豊かな民族的多様性―について多くの学びを得たはずです。ますます発展を遂げるアジアの他の諸国・地域と日本・沖縄で暮らすわれわれとの関係を考えるうえでは、確かに経済面でのつながりという視点も重要でしょう。しかし、単なる経済上の結びつきに止まることなく、相互の歴史を学び、現地に住む生身の人間の温かみに触れることでこれまで有していた先入観を打破し、心情面においても相互に理解しようとする姿勢を養うことこそ、今後「アジアのなかで生きるわれわれ」にとって何より求められる“学び”なのではないでしょうか。短い実習でしたが、参加者一人一人にとって、多くの内発的な気づきに満ちた19日間であったことを願ってやみません。

総評:菅野 敦志(国際文化教育研究学系 講師)

  
 台北・中正紀念堂(台湾)                   インベンテック・グループの
                                         ウィリアム・チャンさんによるレクチャー(台湾)

                                        
 ソウル・戦争記念館(韓国)                                                                   パーレライ寺にてサイアム大学の学生と(タイ)


 

あっという間の19日間    浅沼 貴子(3年次、岩手県立盛岡北高校出身)

 現地実習アジアコースは、5カ国・地域(台湾、韓国、タイ、シンガポール、香港)をまわりました。台湾では高速鉄道に乗って台南まで行き、韓国では戦争記念館等に行きました。タイは比較的に物価も安く、シンガポールや香港はイギリス統治の影響もあってか、ヨーロッパの雰囲気が感じられました。
 そのなかでも、シンガポール国立博物館の日本語ガイドの方から勧められて行った「日本人墓地」のことが特に印象に残っています。そこで私が衝撃を受けたのが、「唐(から)ゆきさんたちの墓」です。唐ゆきさんとは、明治時代に東アジアや東南アジアに渡り、娼婦として働いていた日本人女性のことで、農村や漁村の貧しい家庭の娘たちが唐ゆきさんとして働いていました。シンガポールで亡くなった軍人たちの墓が大きく立派だったのに対し、唐ゆきさんたちの墓は本当に小さく、ただの石のようでした。私たちよりも若い女性たちが身を売られ、ただただ必死に働き、祖国へ帰ることもなくこの南洋の地に散っていったのです。この唐ゆきさんのお墓参りも、実際に現地を訪れなければできなかった経験であり、アジアと日本の歴史的な関係について改めて考える良い機会になりました。
 実習の19日間はあっという間でしたが、これから現地実習に参加する人には、ぜひ多くの「カルチャーショック」を受けてもらいたいです。実習での経験を通じて、私たちが普段感じている「当たり前」のことが「当たり前」ではなくなるのです。最初は誰でも知らない世界に飛び込んでいくのは怖いものですが、しかし、飛び込んでしまえば何も怖くなくなると思います。ぜひ現地実習で共にアジアと世界について学んでいきましょう!

 
 パーレライ寺の神猿像と一緒に幸せ祈願(タイ)             日本人墓地と「唐ゆきさんのお墓」(シンガポール)