公立大学法人名桜大学

 

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平成29年度国際学群 国際文化専攻・語学教育専攻[現地実習 東アジア(韓国)報告]

東アジアコース(韓国)総評

 今回初めて海外実習先として韓国が追加されました。初めてでしたので、学生の趣向や関心事などに関する情報が全くない状態で、五里霧中に新しいコースの充実化を図る必要がありました。そのため、旅の趣旨がボケないように旅のテーマを「アジア近代化の路程」と設定し、今日まで残る植民地遺産をめぐる政策を通じて、過去の記憶や経験がどのように位置づけているのかについて考察することにしました。期間は9月5日から18日までの14日間です。コースは釜山から入り、海軍司令部のある鎭海と馬山、そして新羅の1000年古都慶州を周り、最終目的地のソウルに入る予定で途中変更自由の計画で臨みました。参加学生は大学院生を含め、総勢5人でした。そのうち2人は中国からの留学生で、チームはまさに国際色満開で終始笑いが絶えない楽しい旅仲間だったと思います。

 
 また、実習の濃度がより濃いものになるよう、一般の観光旅行とは差をつけるためにも「文化体験」に重きを置き、現地での宿泊先をホテルにせず、できる限りホームステイで過ごしました。現地の姉妹大学の関係者のご尽力を得て、総14日間のうち、ホテルに泊まったのは慶州でのたった2日間のみでした。学生たちは、ホテル宿泊では決して味わうことのできない深い体験ができたと思います。
 
 このように今回の海外実習においては、個人的な旅では決して味わうことのないような「深い体験」が得られるように努めました。釜山の峨媚洞の旧日本人墓地の上に避難民がバラックを建てて住んでいる地区や一般人はもちろん外国人の立ち入りが固く禁じられている鎭海の海軍司令部にも特別見学ができました。案内の下士官から「よく許可が得られましたね。どういうコネでしたか?」と聞かれるほどでした。
 
 釜山と馬山では個人の自由時間がほとんどなく、皆様大変疲れていたので、慶州では学生たちの要望で初日は自由行動にしました。このように旅の計画は大きな軸がぶれない範囲で学生たちの要望を積極的に取り入れたので、皆楽しく全日程が消化できたと思います。
 
 ソウルでは植民地時代の政治犯の刑務所の跡地を見学しました。また休戦線を訪問したときには北朝鮮がミサイルを発射した後だったので、日本はもちろん、インドやロイター通信の記者やテレビクルーたちが北朝鮮を指差しながら報道合戦する場面にも出くわしました。北朝鮮の住民が双眼鏡では見えるものの、これほど近距離でありながら理念の対立により会話すらできないもどかしさには全員しばらく言葉を失いました。
 
 旅の期間中、学生たちの意外な一面や関心事に驚かされたり、また日常の講義では見たことのない明るい振る舞いなどが観察できたりしたことは、引率の収穫としては大きいものでした。
 全日程、何の事故もなく、体調崩すこともなく、盗難に遭うこともなく、心配していた戦争もおきず(?)無事戻れたことは、学生一人ひとりの団結と協力のおかげだったでしょう。心から喜んでいます。旅が終わってみると何だか皆が家族のように思えてきて、戻ってきてからも食事会などでさらなる交流を深めています。旅の内容が思いの外充実していたことを示すのではないでしょうか?学生たちはさらなる旅の計画も進めており、人間関係が広がる。これ以上、素晴らしいことがあるでしょうか。
 
 総評:李鎭榮(国際学群国際文化教育研究学系 教授)
 
 

 

 

 現地実習東アジア(韓国)コースを終えて 

 

大谷 鈴菜(国際文化専攻3年次、福岡県立嘉穂高校出身)

 

 

 現地実習では、最初に甘川文化村や阿弥洞日本人墓地跡地などがある釜山を訪れました。難民が住みついた土地を交通整備や下水処理ができていないまま観光地化していることなど、一見綺麗に見える観光地の実情についての話は興味深いものでした。
 
 次に日本統治時代の建造物が観光地になっている地域などがある馬山を訪れ、韓国政府の反日を提唱しながら日本統治時代の建造物の観光地化を進める姿勢に対する様々な意見を聞くことができました。
 
 慶州では、仏国寺や農村地域を訪れ伝統韓国社会の歴史や村落生活について学びました。寺院や家屋の装飾は日本とは全く違っていてその違いの背景なども聞くことができました。
 
 また、ちょうど9月15日、北朝鮮がミサイルを発射した日にソウルの軍事境界線や戦争博物館などを訪れることになり、日本の報道メディアと遭遇するなど貴重な体験ができました。
 
 この現地実習では韓国について学ぶだけでなく現地の学生などとたくさん交流することができました。韓国の若者のリアルな声を聴くことは、韓国を理解する手助けにもなり、とてもいい出会いができたと思います。
 
 しかし、現地の方と交流する機会がたくさんあったにもかかわらず、私たちの言語力が足りず、日本語がわかる現地の人に甘えてばかりだったことは改善すべきことだと思いました。今回お世話になった方々にまた会う時にはもっと成長した姿になれているよう努力していこうと思います。
 

 

慶州市にある占星台にて

慶州市にある仏国寺にて

 

 

 実りある現地実習  

 

吉川 華保(国際文化専攻3年次、鹿児島県立鹿屋高校出身)

 

 
 韓国を訪れるのは私自身2回目でしたが、以前とは全く違った韓国の表情を見ることができ、大変有意義な時間となりました。
 
 私が実習で印象に残っている場所は、釜山にある旧日本人墓地です。ここは朝鮮戦争で釜山に避難してきた避難民が、墓石を家の土台や階段の材料として使用した痕跡が残されています。この墓石は日本人の墓石で、実際に見ると漢字で名前や家紋が彫刻されていて当時日本人がこの地にいたことを物語っていました。
 
 また釜山では姉妹校の釜慶大学、馬山では慶南大学を訪問しました。両大学では日本語を勉強している現地の大学生との交流や講義を受けました。現地の大学生の家にホームステイするという貴重な経験もできました。日本とは多少異なる家の造りや習慣を肌で感じ、一般的な韓国の朝食を食べさせてもらうなどホストファミリーの方々にはよくしていただきました。他にも海軍司令部では、旧日本海軍の司令部の建物がそのまま使われていました。多くの植民地時代の建物や遺物が壊される中、ここだけは軍事施設として使われていたため破壊を免れ、何と1970年代に重要文化財として指定され保存状態も良く、時代の歴史をなおも刻み続けていました。また、新羅の1000年古都慶州の世界遺産の仏国寺や石窟庵、慶州近郊の良洞村、ソウルの西大門刑務所や北朝鮮を見ることのできるオドウサン統一展望台などに行きました。
 
 実習へ行く前は長いと思っていた2週間も、実際に行ってみると1日1日がとても充実していて最終日前はもっと韓国にいて日本では感じられないものを感じていたいと思うほどでした。
 

 

ソウルの日本風居酒屋にて

鎭海区にある海軍司令部にて