公立大学法人名桜大学

 

「第一回台湾研究世界大会」(WCTS)参加記


平成24年4月26日(木)から28日(土)の3日間にかけて、「第一回台湾研究世界大会」(The 1st World Congress of Taiwan Studies)が台湾総統府直属の学術研究機関・中央研究院の主催により台北東部の南港に位置する同機関を会場に開催された。本国際会議は世界的な台湾研究の研究成果の発表・公開ならびに台湾研究者の国際的ネットワークと制度化の進展に寄与するものとして計画された。

筆者は日本台湾学会の企画による分科会セッション「冷戦期の東アジアにおける台湾の存在」(Taiwan’s Presence in East Asia during the Cold War)において、冷戦期台湾の対外関係・内政について、石川誠人氏(立教大学)、井上正也氏(香川大学)、何義麟氏(国立台北教育大学)と共に、1950年代初期台湾の中国化と脱植民地化に関する報告を行った。司会は松田康博氏(東京大学)、コメンテーターは川島真氏(東京大学)、林果顕氏(国立政治大学)であった。
大会初日に撮影された参加者(一部)の集合写真
(大会事務局提供)
 3日間におよんだ大会では午前・午後を通じて26もの分科会が設けられ、文学、芸術、歴史、宗教、経済、社会、政治、法律、環境、言語、先住民族等のテーマを網羅した102篇もの論文が発表された。報告者・コメンテーターとして183人もの研究者が参加したほか、聴衆を含めると550人もの参加者があった。日本台湾学会による分科会は会場で最も収容人数の多い国際会議場で行われ、100人以上の聴衆を集めた。

ところで、38年間続いた戒厳令が1987年に解除されるまで、台湾独立運動に対する懸念から、台湾内で台湾研究を行うことはタブーであった。こうした過去を鑑みると、戒厳令解除後四半世紀という節目の年に(しかも、かつてと同じく国民党施政下で)開催された世界規模の台湾研究大会は、台湾社会の民主化をアピールするうえでも非常に意義深いものであったといえよう。初回となる本大会は成功裏に幕を閉じたが、国家の枠組みを超え、「地域研究」というディシプリンの下でその個性を発信し続ける台湾研究の魅力と意義が、今後も同大会を通じて一層グローバルな規模で認知されていくことを願ってやまない。

大会会場入り口にて筆者



国際学群 国際文化教育学系 講師 菅野 敦志