公立大学法人名桜大学

 

学生支援推進プログラム企画シンポ「未来の学びをデザインする」を開催しました

平成23年度 名桜大学 学生支援推進プログラム企画シンポジウム

「未来の学びをデザインする」を開催致しました

 

 本学では、先輩・後輩コミュニティを基本とする学習支援センターの構築を、3年かけて実施するにあたり、平成21年度文部科学省「大学教育・学生支援推進事業【テーマB】学生支援推進プログラム」に採択され、この3月末に事業の最終年度を迎えることとなった。
本学の学生支援の現状と課題を理解し、今後の持続的な学生支援を推進する目的で、平成24年3月7日(水)、本学多目的ホールにおいて「未来の学びをデザインする」と題した企画シンポジウム(主催:名桜大学、共催:北部広域市町村圏事務組合、琉球新報社)を開催した。また、言語学習センター10周年記念パネル展示会も同時開催した。

 

 第一部は、公立はこだて未来大学教授、美馬のゆり氏による基調講演「未来の学びをデザインする―空間・活動・共同体」-であった。典型的な大学キャンパスの建物は機能別に分かれているが、公立はこだて未来大学は全て1つの建物の中にある。江戸時代の寺子屋と現在の学校の風景を比較すると、我々の学習空間は多機能型が望ましく、それは学習が「単なる知識の習得」ではなく「個人の集団へのかかわりが強まっていくプロセス」として位置づけられ、その条件としてコミュニケーションが欠かせないからである。持続可能な学習環境を構築するためには、学習環境のデザイナーが共同体に所属し、理論と実践を螺旋的に進化させていくことが重要となる。

 

 第二部は、木村堅一(教養教育センター長)が事業報告を行った。「先輩・後輩コミュニティを基本とする学習支援センターの構築」の取り組みは、言語学習センターと名桜ウェルナビ(学生による新入生支援ボランティア団体)からスタートした。事業一年目には全体の枠組みを明確にすると共に、数理学習センターを企画、運営を開始した。事業二年目には、数学、英語、就職試験の学習コンテンツを開発するとともに、S-CUBE(学生による就職活動支援ボランティア団体)を企画、運営を開始した。三年目は、学生支援4団体が相互に課題を共有し、連携・協力する「学生リーダーズ会議」をスタートさせることで、学内組織の間にゆるやかな連携を形成した。学生(先輩)が学生(後輩)を支援するという共通のコンセプトの中、学生がコミュニティを形成していく仕組みが構築された。今後の課題として、安定的な学生支援組織の形成、専門的人材の育成、教職員と学生が協働できる大学環境の整備等を指摘した。


続いて、言語学習センター(LLC)マネージャー津嘉山淳子氏より「言語学習センター10年のあゆみ」と題し、言語学センター10年間の実績報告が行われた。センターの設立経緯から、その運営組織と活動内容、そして現在までの学生チューター数や利用者数等が報告され、センターが、学習の空間、活動、共同体の視点から、理想的な学習環境の諸条件を満たしているといった分析報告が行われた。報告終了後、学生制作によるビデオ映像が流れる中、10年間の津嘉山淳子マネージャーの功績に感謝する花束贈呈が行われた。

 休憩時間を利用し、ホール入口ではパネル展示会「言語学習センター10周年のあゆみ」が行われた。参加者にはお茶とお菓子が振る舞われ、リラックスした雰囲気の中、懐かしい写真で盛り上がる場面もあった。

 

 第三部は、パネルディスカッション「未来の学びをどう実現するか」をテーマに、コーディネーターを佐久本功達氏(教務部長)、話題提供者として渡慶次正則氏(言語学習センター長)、高橋大介氏(数理学習センター講師)、金正筆氏(観光産業学科4年次、韓国出身)の3人に依頼した。また、美馬のゆり氏(公立はこだて未来大学教授)には、指定討論をご担当いただいた。
金正筆氏には、学生の視点から理想の名桜大学像について語ってもらった。言語学習センターの学生チューターとして2年半、そのうち1年半はチューターリーダーとして活躍してきた。チューターとして、そして一学生として大学に対する提案をしたい。まず、グループ学習の機会を増やすこと。グループ内で発表することで、社会に出た時に自分の意見を誰の前でも述べることができるようになる。また、図書館は24時間空けてほしい。学生は夜、ファストフード店で勉強している。そして、学生が参加できる授業を増やすこと。日本人は消極的だ。授業に参加することで学ぶ内容も深まる。最後に学生アルバイトを大学内で増やしてほしい。お金だけでなく、大学にも愛着が湧く。
渡慶次正則氏には、言語学習センター長として、現在までの言語学習センターの実績や、さらに今後の発展のための展望を語ってもらった。公立大学法人化に移行して2年が経過し、学生のレベルやニーズが変化してきた。学習支援だけでなく、企業や学会で英語のプレゼンテーションができる能力を学生は身につけたいと思うようになっている。学生の高度な能力を開発するセンターとしての変革が求められている。また、時間的・空間的な制約のないeラーニングの導入や、英語圏留学生の受け入れ体制の強化により、さらにセンターを高度な能力開発の場に転換する必要性がある。
高橋大介氏には、3年間にわたる数理学習センターの運営を通して、学生による学習支援活動を継続して行うための取組について語ってもらった。数理学習センターでは、学生同士で高め合う学習環境を大切にしている。また、授業と連携した課題で学習支援を行い、学生が主体的にセンターを運営している。チューターマニュアルも学生が主体的に作成し更新がなされている。学生による学習支援を通して、学内に持続的で自然にノウハウが蓄積される学習共同体が構築されつつある。今後は、学生による学習支援を評価すると同時に、学習支援に取り組む教員を評価する仕組みづくりが重要となる。本学の学生の気質を生かした学習環境の構築が求められている。
最後に、指定討論者の美馬のゆり氏から、学生、教員、職員のそれぞれが学習支援センターを構築する活動に参画した際、自ら成長したと思える部分は何だったかについての質問があった。美馬氏によると、他大学にない名桜大学の強みとして、先輩・後輩コミュニティをコンセプトとした学習支援の取り組みは位置づけることができる。しかし、理想的な学習環境を持続するためには、その先輩・後輩コミュニティに参画する学生、教員、職員にどのようなメリットがあるのかを明確にし、そのメリットをもたらす活動自体も評価していくことが重要である-と結論し、今回のシンポジウムは閉会となった。

 
この度のシンポジウムが、本学20周年記念事業である学習環境整備計画を推進する第一歩となったであろうことを確信し、遠く北海道より来沖して頂いた美馬のゆり氏をはじめ、シンポジウムの共催をご快諾いただいた北部広域市町村圏事務組合、琉球新報社、そして、学生支援プログラムに参画していただいた学生の皆さん、本学教職員、NPO法人キャリアサポートここひら様、多くの関係者の皆さまに改めて感謝申し上げると共に、本学における学生支援の輪を学内だけでなく、沖縄県全体に広げていくことを誓い、報告を終わりにしたい。

総評:学生支援プログラム事業推進責任者 木村 堅一(教養教育センター長)

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パネリストの皆様。左から美馬のゆり氏、渡慶次正則氏、高橋大介氏、金正筆氏、コーディネーター佐久本功達氏