公立大学法人名桜大学

 

教育・研究活動レポート:日本語・日本文学セミナーを開催(2012/2/11)


日本語・日本文学セミナー—「読む」ということ—

 

伊藤孝行(国際学群 講師)
小番達(国際学群 講師)

 

 平成24年2月11日(土),名桜大学総合研究所にて日本語・日本文学セミナーを行った。
このセミナーは昨年度まで実施されてきた語学教育専攻FDの一つ「日本語教師ワークショップ」の後継に相当するものである。今回は「読む」ということをテーマに,伊藤・小番により2コマ構成にて実施した。
まず,伊藤による「読むことを教える―さまざまな「読み方」を身につけよう―」では,一口に「読む」といっても,実はさまざまな読み方をしていることについて,紹介があった。語→句→節→文→文章/段落と小さな単位から大きな単位で読みすすめるボトムアップモデル,また,あらかじめ目的や予測があり,それらと照合させて読みすすめるトップダウンモデル,そして予測していく際に頭の中で使われている「スキーマ」についての紹介,読み方の方策「ストラテジー」についての紹介があった。最後に,国語・日本語教材を例にどのようなモデルを使って読みすすめているのか,例をあげての説明があった。
次に,小番による「古典文学を読む―『徒然草』に学ぶ―」では,まず,兼好にとって‘古典文学を読むこと’の意味を第一二段と第一三段の連関から「昔の『友』との時空を超えた対話を通して,心を慰め,『あはれ』を感じること」とする解釈が示された。その上で,「あはれ(なり)」の語の解釈をもとに我々にとっても古典文学の読み方は多様にあることについて説明があった。そして、悪友・良友をめぐる第一一七段と人間の心理に関わる第七一段の紹介があった。そこでは兼好独特の人間観や観照力を確認するとともに,文学の読み方は決して一つではなく,例えば,読み手の年齢の違い等によってそれぞれの読み方・味わい方が可能であることの説明があった。
最後に,今回は本セミナーの告知期間が昨年に比べて短くなり,会場に見合った参加者数があるのか気をもんだが,やんばる在住の方・学生・教職員とバラエティーに富んだ方々の参加があり,おおむね好評を得た。ここに記して謝意を表したい。