沖縄の公立大学 名桜大学(沖縄県名護市)

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国際学術シンポジウム 港・観光と自然~クルーズ船受入れに関するやんばる産学官連携~

掲載日:2019年2月25日お知らせ , 卒業生向け , 受験生向け , 在学生向け , 地域の方向け , 教育・研究活動レポート

国際学術シンポジウム
港・観光と自然
~クルーズ船受入れに関するやんばる産学官連携~

 平成31年1月25日(金)に名桜大学多目的ホールにて、国際学術シンポジウム「港・観光と自然~クルーズ船受入れに関するやんばる産学官連携~」が開催されました。
 このシンポジウムは、中国・南開大学より王凱氏(南開大学外国語学院副学長/東アジア文化研究センター長)を招聘し、2020年から本格運用が始まる本部港へのクルーズ船寄港について、地域課題や経済効果を考えることを目的に開催されました。
 開会にあたり、山里勝己学長は「これまでCOCをはじめ、健康長寿復活等、北部の地域貢献に尽力してきました。今回のシンポジウムでも研究を交換し、地域連携につなげられるよう願っております」と挨拶を述べました。次に伊集盛久北部振興会長(東村長)は大学を中心とする産学官連携を示した上で「地域の発展と大学の役割について思索し、本部港国際クルーズの受け入れ体制を考える場にしたい」と本シンポジウムへの意気込みを語りました。

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山里学長 伊集会長

プログラム

  • 主催者挨拶 山里 勝己(名桜大学学長)、伊集 盛久(北部振興会長(東村長))
  • 基調講演 王 凱(南開大学外国語学院副学長/東アジア文化研究センター長)
    テーマ「地域発展と大学の役割」
  • 学生発表 南開大学日本語学科学生
  • パネルディスカッション コーディネーター:伊良皆 啓(名桜大学観光産業教育研究学系上級准教授)、大谷 健太郎(名桜大学観光産業教育研究学系上級准教授)、高良 文雄(公立大学法人名桜大学理事/前本部町長)、松田 美貴((有)沖縄シップスエージェンシー会長)、新垣 力太(沖縄北部法人会副会長)、コメンテーター:王 凱
  • 閉会挨拶 鈴木 啓子(名桜大学副学長)

基調講演

 03.jpg基調講演では、王凱氏より地域発展における南開大学の役割や北京・天津・河北共同発展戦略、天津国際クルーズ観光発展三年行動計画などが紹介され、沖縄でのクルーズ船受入れに必要なインフラ整備やドラマ・映画による宣伝強化についての提案がありました。
 また、観光客の年齢層が低くなっている傾向があり、今後の発展には若い世代の視点が欠かせないことや団体受け入れを行うために周辺産業の協力が不可欠であることが提言されました。

学生発表

 04.jpg学生発表では、南開大学の学生からシンポジウム開催1週間前から沖縄県北部地域内の主要な観光地を視察調査した結果が発表されました。
 はじめに、2015年より盛んになった学生交流会について報告しました。交流会においては、言語交換交流会で「全ての参加者と交流できない」「片方の言語だけでの交流になる」などの課題に対し、具体例を挙げながら改善点を紹介しました。
 視察調査結果報告では、交通の不便や宿泊施設の探しにくさ、標識の翻訳が難しいことが問題点として挙げられました。観光地のサインなどを例に挙げ、中国語圏からの観光客にとってわかりにくい表現や不適切な翻訳を指摘し、改善策を提案しました。

パネルディスカッション

 パネルディスカッションではコーディネーターの伊良皆啓氏(名桜大学上級准教授)の進行のもと4人のパネリストが発表を行いました。
 大谷健太郎氏(名桜大学上級准教授)は「観光における交流と地域発展―大学の役割を踏まえて―」をテーマに発表し、沖縄におけるクルーズ寄港回数と本部港の整備についていくつか課題を挙げ、大学の役割としては多言語対応等のマネジメントコンサルティングに注力していきたいと述べました。次に高良文雄氏(名桜大学理事・前本部町長)は「行政経験者から見た地域振興への提言」をテーマに、観光は沖縄全域で考えていかなければいけない重大事項であると主張し、観光公害の面での賛否を問うた上で、民泊やテーマパークなど観光客を北部に留める政策について提言しました。次に松田美貴氏(沖縄シップスエージェンシー会長)は、「クルーズ客船の寄港による経済波及効果とインバウンドの関係」をテーマに、クルーズ船が北部へ寄港し、一度に9,000人余の観光客が押し寄せることで、渋滞やトイレ整備の課題が生じると述べ、「入域客を減らし、サービスを充実させる」というハワイでとられている政策を事例に対策案を提示しました。次に新垣力太氏(北部法人会副会長)は、「北部地域の経済活性化のために持続可能な観光を実現する地元主体の広域組織の必要性」をテーマに、事業者約700社へのアンケート結果から、企業によってクルーズ船寄港に対する温度差があることを問題に挙げ、受け入れに対して広域的な組織を立ち上げる必要性について力説しました。
 最後にコメンテーターの王凱氏は、「リスクマネジメントや地域と協同する大切さを改めて実感した」と述べ、意見交換の場の重要性について触れました。

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伊良皆上級准教授 大谷上級准教授 高良理事 松田会長 新垣副会長

総評

 10.jpg今回の国際学術シンポジウムは、2017年に南開大学の代表団が本学を訪れ、教育と研究を中心とした国際交流を推進する意見交換の場が出発点となりました。本学は2016年以来、南開大学で海外スタディツアーと中国語現地語学研修プログラムを毎年実施してきた経緯もあり、山里勝己学長は国際的な教育・研究成果を北部地域に還元することを視野に入れ、北部振興会(伊集盛久会長)と共同主催で本シンポジウムを開催することにしました。やんばる地域に海外の大学を誘致し、観光に携わっている各分野の専門家が一堂に集う国際的な学術シンポジウムを開催することができたことは、21世紀の新たな発展の可能性を模索するという意味でも大変貴重な機会に恵まれました。
 本シンポジウムには行政、一般、学生、教職員と多くの方々が会場に足を運んでくださいました(来場者数240人)。基調講演では王凱氏が天津市の発展を事例として挙げ、南開大学の学生は中国の若者の視点から北部の魅力と課題を具体的に取り上げてくれました。パネルディスカッションではコーディネーターを本学の伊良皆啓先生、観光振興における大学の取り組みを大谷健太郎先生、行政経験の視点から観光振興を俯瞰した高良文雄氏、クルーズ船受入れの現場から経済効果と具体的な課題を松田美貴氏、法人会の立場から地元企業とクルーズ船受入れの現状を新垣力太氏が、それぞれの見解を報告しました。
 今回の国際学術シンポジウムは、これから北部12市町村、沖縄県全体が「協同」して一つの方向に進んでいく大きな一歩となりました。企画・運営・実施に携わってくださった行政・教職員の皆様へこの場を借りて御礼申し上げます。

総評:山城智史(リベラルアーツ機構 上級准教授)

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北部12市町村より多くの参加者が詰め掛けた

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