沖縄の公立大学 名桜大学(沖縄県名護市)

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大学間交流協定について---- 環太平洋コンソーシアム構築に向けて

掲載日:2015年11月2日学長室から

 10月8日にハワイ州イゲ知事が本学を訪問されました。これは、ハワイ州と沖縄県の交流協定30周年を記念した諸行事の一環でありました。同時に、このご訪問は、本年5月13日にハワイ州の式典室で開催された名桜大学・ハワイ大学システム・琉球大学間のコンソーシアム協定を支援したイゲ知事が、本学を訪問することでかさねてこのコンソーシアムを支援する意向を示されたものと考えています。本学でのご挨拶の中で、「私たちの未来は若者の教育にある」とイゲ知事は述べられましたが、21世紀の国際ネットワークによる教育研究のヴィジョンを簡潔に表現する発言であると思います。時間の関係で、30分だけの短いご訪問になりましたが、厳しい日程の中に本学訪問を組み込んでいただいたことに対して心よりの感謝の意をお伝えしました。

 ハワイ大学システムは、ハワイ大学マノア校(University of Hawaii, Manoa)、ウェストオアフ(West Oahu)校、ヒロ(Hilo)校の4年制キャンパスと、カピオラニ・コミュニティ・カレッジ(Kapiolani Community College)などの7つの2年制短大を含む複合的な大学です。アメリカの州立大学はほぼこのような形態をとっています。このようなキャンパスが、網の目のようにハワイ諸島に広がっています。本学は、これまで主としてヒロ校と交流してきましたが、ハワイ大学システムとの交流協定により、10キャンパス全てと交流が可能になりました。

 本協定に基づいて、すでに本学のライティングセンター運営委員によるマノア校とウェストオアフ校の視察が行われました。また、来年開催予定の「世界のウチナーンチュ大会」に向けて、本コンソーシアムによるシンポジウムの企画が進んでいます。さらに、本学とハワイ大学システムの10キャンパスの多様な分野において、これからの具体的な交流のための話し合いが始まっています。特に、看護、医療・健康、スポーツ、島嶼文化・社会研究、環境、観光、言語、語学教育等、さまざまな分野で学生や教職員の交流が盛んになることを期待したいと思います。
 具体的な協定については、本学の国際交流センターに相談してください。

 学長の運営方針の中に、本学の「国際教養人の育成」という理念を具現化するために、環太平洋コンソーシアムの実現をめざすということを挙げてあります。ハワイ大学システムとの協定もその一環ですが、2014年度は8月20日にペルーのパシフィコ大学、名桜大学、琉球大学でコンソーシアム協定を締結しました。すでに、県内では大学コンソーシアム沖縄が形成されています。また、本学は、アジアや国内の多くの大学と協定を締結しています。すぐには全体の協定が実現するとは考えていませんが、将来的には点と点が繋がり、環太平洋に広がる21世紀の教育研究の連携体制が形成され、本学が地域や国際社会に貢献し、学生や教職員がこのようなネットワークの中で活躍することを願っています。

 10月22日には、公立はこだて未来大学の中島秀之学長御一行が来学され、本学との交流協定調印式と意見交換会が開催されました。はこだて未来大学からは、本学が学生会館サクラウムを建設するさいに同大の施設の視察を行い、大きな示唆を得ました。また、本学が日本で初めて導入した言語学習センター(LLC)のCRLA(College Reading and Learning Association)証明書取得システムをはこだて未来大学が視察し、日本で2番目に導入したという経緯があります。このように、相互に具体的かつ先端的な交流を行ってきたという実績があり、今回の交流協定調印はきわめて自然な流れであったと思います。
 本学の『学生ガイド』の中に、那覇を中心として3000キロまでの距離にある国や土地が図示されています。これを見ると、函館は那覇から2000キロ以上離れていて、フィリピンや北京よりも遠いということがわかります。また、これは私個人の経験ですが、2000年にアラスカ州立博物館を訪れたさいに、壁にかかっている「アラスカから見た世界地図」を見たことがあります。この地図には、北海道まではくっきりと描かれていましたが、青森以南はおぼろげに示されているだけでした。一方、琉球諸島は、テレビの天気図などでは、能登半島の先にあったり、足摺岬の下にあったりで、画面に収まらないところに存在しています。琉球諸島は、北海道同様、歴史的・文化的に日本の枠に収まりきれないで溢れ出るような要素を多々有しています。ですから、このような協定を結ぶことで今後展開される交流は、やはり日本の枠を超えていくような先端的なものであって欲しいと、学長として挨拶で申し上げました。
 学生交流だけでなく、教職員交流を含めて、北と南の「先端」同士で斬新な協力関係が構築されることを期待しています。もちろん、将来的には、国内の他の交流校も含めて、環太平洋のネットワークのメンバーとして、活発でグローバルな交流が展開されることを願っています。

 21世紀の最初の10年が過ぎたいま、「グローバル」な場はどこにでも出現するということが実感されるようになりました。沖縄中南部だけでなく、名護市を中心とした北部地域でも、外国からの観光客が急増し、外国語を日常的に耳にする機会が増えてきました。このような状況に対応するためにも、国内外のコンソーシアムを活用し、既存の交流協定を形骸化させないで生きた交流を継続することが要請されるようになってきました。地域や国内・国際社会と連携しながら、教育研究交流のための本学のシステムを着実に構築していきたいと考えています。

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